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声を探して

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    鏡が張り巡らされた白い部屋。一人、佇んでいた。増殖する。映す姿は同じに。

迎合の為に

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   重い音を響かせながら扉が開く。ノブを握る手を離し、玄関を跨いだ。

触れた跡

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   弦を爪弾いていた。木箱に張られた十三本が振動する。全体を震わせ、共鳴を起こした。

同じ顔

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   白い室内で、高い声が響いている。ずっと、受け取っていた。産まれる前から。

見つめるものは

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   石を蹴った。僅かに浮いて地面に向かう。何度か跳ねて、歩く先に留まる。

結晶を痕に

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   灰色が沁みた膜が漂っていた。流れ、形を変えて。繋がり続けて覆い隠す。

戦場の欠片

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    滲む視界の先で、男が笑っている。その脚が小さな身体を踏んでいた。

零れたのは

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   ちゃぶ台の前で膝を折り、畳に脛を置く。背筋を伸ばし、卓上の茶碗を見つめて。急須に手を伸ばし、注いでいく。

真実の景色

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    太陽が降り注ぎ、眼球を照らした。入ることは出来ない。視界には無が拡がっている。

聞こえぬ組曲

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 何処かで鳴っている。震わせながら伝って来た。  生地が僅かに振動を始める。

淵の端から

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   草を握って力を込めた。土が盛り上がり、跳ねて散らす。背負った籠に手を伸ばして、指を離した。少し、積みあがる。

少女の花弁

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   夕暮れに染まる景色の下で、女と少女が手を繋いでいた。時折、顔を見合わせて。

視線と誇り

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  視線が注がれていた。身体が僅かに強張る。小さく息を吐いた。唇を舐め、引き結ぶ。

何処へ向けて

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   垂れ下がる太い綱を握り、何度か振る。大きな鈴が鈍い音を鳴らした。両手を合わせて目を閉じる。

積まれた煉瓦

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   橙色の煉瓦が積まれる。長く、高く。端を丁寧に合わせながら、ゆっくりと重ねて。

シリアルを咀嚼して

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  ──見つけた。   笑みを張り付けた顔が、ロッカーに設けられた隙間を覗きこむ。目が、合った。

最後の理性

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 煙草に火を灯した。息を吸い込み、静かに吐き出す。煙に混ざる風が顔に触れる。終業を告げるチャイムが鳴り、校舎から人が溢れた。

月光に照らされて

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 引き摺っていた。跡を残しながら。湿った音がする。柔らかい土に、靴底が沈んで。木々がざわめき、枝がしなる。

寄り添う枯葉

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 エレベーターの扉が開く。人がひしめき合う中で、次々と降りる。俯いた男が、あとに掃き出された。胸を、ぎゅっと握って。

山頂の霧

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 倒木に腰掛けていた。霧が拡がり、景色が滲む。陽光は遮られ、空は灰色に塗られていた。