作品アーカイブ (目次)

イメージ
  更新通知⇨ RSSで新作を受け取る *文章にAIを一切使用していません。自分の感性だけで書きたいからです。曲と画像はAIで作成しています。 ─最新─              「筆の先で」        境界 「積まれた煉瓦」      感情 「枯葉と砂」        日常 「線の先は」        境界 ─ピックアップ─ テーマ  時間 「重なる景色」 ─テーマ別─ ─境界─       十四作品 ─時間─           七作品 ─循環─       十三作品 ─感情─           十一作品 ─万有─           七作品 ─価値観─   十五作品 ─日常─           十一作品 ─断片─           四作品 ─無─               三作品 ─掌編─    「筆の先で」         境界 「積まれた煉瓦」       感情 「越えた後」         境界 「シリアルを咀嚼して」    感情   「街の跡」          日常 「旋回する夜」        日常 「閉じた瞼」         境界 「瓦礫の理由」        境界 「配慮の有無」        価値観 「銀の牢獄」         境界 「重なる瘡蓋」        境界 「見えない顔」        日常 「神木の瞳」         価値観 「最後の理性」        感情 「月光に照らされて」     感情 「重なる景色」        時間 「境界の先で」        循環 「寄り添う枯葉」       日常 「いやし」          循環 「編まれゆく造形」      循環 「ずれた距離」        日常 「刻まれた断片」    ...

最後の理性



 煙草に火を灯した。息を吸い込み、ゆっくりと吐き出す。煙と混ざる風が顔にかかる。終業を告げるチャイムが鳴り、校舎から人が溢れた。

 木にもたれかかり、雑踏を眺める。行き交う学生が忙しなく歩いて。


 錆色のコートを翻す。波打つブロンドの髪。ポケットを探ると、指先に触れる。硬く、冷たい物が。


 ──こうするしか。


 煙草を咥え、目を閉じた。タールが肺に沁みて、馴染む。煙を吐き出して。



────

 壁の亀裂が目立つ薄暗い部屋。紫煙が漂う。

灰皿に押し付け、吹きかける。錆色のコートを着た男に。


「......後悔するぞ。」


 瞳を覗き、紡いだ。コートの裾がほつれていた。


「しないよ。」


 ブロンドが揺れる。ポケットから取り出した。黒く、鈍い光沢を。冷たく、硬い物を。


「......もう、君は要らない。」


 指を引き絞る。腕に余韻を残し、男を貫く。吐き出され、零れ落ちる──床を跳ねて。


 錆色のコートはほつれ、ほどける。ブロンドと共に。霧散する。硝煙を残して。



────

 路面を跳ねる薬莢の音。耳鳴りが頭蓋に反響する。何も聞こえない。


 硝煙の匂いが、した。


 女が目を見開く。弾丸が貫いていた。ゆっくりと崩れ、うつ伏せに倒れた。赤黒く滲む染みが、地面に拡がる。


「お前らは、俺を見ないんだろう?」


 群れが散る。逃げる背中を追い続けた。


 始業を告げるチャイムが響く。

 誰にも聞こえない。


 髪が一本、抜け落ちた。陽光に輝くブロンドが。


 ────錆色のコートが僅かに揺れて。風が、止む。

コメント

このブログの人気の投稿

境界の鏡

作品アーカイブ (目次)

雨上がりの空