作品アーカイブ (目次)

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雨上がりの空



 湿った匂いが、掌を包む。暖かく、ざらついていた。雨上がりの、土。


 腕を伸ばし、指を開く。太陽が降りて、手のひらを桃色に透かす。


 細かく落ちる粉塵をそのままに、顔を撫でた。

痛む頬は、濡れている。付着した泥が照らされ、乾いていく。


 ゆっくりと、体を起こす。ランドセルを拾い、背負った。


 ──怒りすぎだろ。


 唾を吐くと、水溜りが赤く映る。唇に触れて、宙を見上げた。


 雲は散り、青空が拡がる。

蒸気が昇っていくのが見えた。俯いて、呟く。


「俺が、悪いのかよ......」


 乾いた土が、剥がれ落ちる。沈んでいく。幾重にも環が生まれ、溶けて、ほどけた。


傷ついたかな──


 頭を掻いて、踏み出す。飛沫が足に、絡んでいた。胸の奥を、湿らせて。


 街並みに、茜色が浮かぶ。景色の先に、家が滲む。口が開き、溢れた。


「......ちくしょう」


 雨上がりの空に、帳が降りる。


 ────痛みは、引いて。軋みは、何処へ。





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