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3月, 2026の投稿を表示しています

作品アーカイブ (目次)

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  更新通知⇨ RSSで新作を受け取る *文章にAIを一切使用していません。自分の感性だけで書きたいからです。曲と画像はAIで作成しています。 ─最新─              「歪んだ花」         境界   「編まれた柱」       循環 「消えていく顔」      断片 「錯覚のまま」       断片 「ただ、純粋に」       価値観  ─ピックアップ─ テーマ   万有 「10^-10^50の虚構」                  ─テーマ別─ ─境界─           十八作品 ─時間─               七作品 ─循環─           十七作品 ─感情─           十四作品 ─万有─               八作品 ─価値観─       十七作品 ─日常─           十一作品 ─断片─               八 作品 ─無─                   三作品 ─掌編─    「歪んだ花」         境界 「消えていく顔」       断片 「錯覚のまま」        断片 「ただ、純粋に」       価値観 「選べるなら」        断片 「種の中で」         循環 「いない気がして」      境界 「跳ねたコイン」       価値観 「溢れた珈琲」        境界 「10^-10^50の虚構」       万有 「少女の花弁」        感情 「巡る日常」         境界 「視線と誇り」        感情 ...

螺旋の外

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  骨が覗いていた。無数の虫がたかり、齧っている。体液が地面に拡がり、土に沁みて。臭いが鼻腔に入り込む。  眺めていた。俯き、じっと。  ──最後の骸。  己の頬を撫でた。細胞が人差し指を押し返す。  そっと唇に触れた。  「私は、いつまで」  周囲を見渡すと、瓦礫が積まれている。傾いたビルを認めて、溜息を吐いた。  地鳴りが響き、残骸が沈んでいく。大地が裂け、溶岩が溢れ出した。身体を包み、眼球を燃やして。視界が闇に覆われ、また光を映す。  ──何度も  皮膚が溶けた。  弾力を取り戻す。  腕が炭化した。  色を取り戻す。  繰り返して──  赫く染まる空が、明滅していた。粘り気を帯びた輝く海がうねる。呑まれ、焼き尽くされて。  轟音は聞こえない。焦げた臭いも。  刹那に白が塗り潰し──弾けた。  暗い空間に浮かぶ。傷は、ない。  破片がぶつかる。  混ざり、  結合し──岩石に。  視線の根で、雫が溢れた。解かれ、漂う。 「......変われない」  ただ、流れていく。  ────外れたままで。

筆の先で

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  長く伸びた川が、静かに流れていた。六本の柱は、水面から空に向けて立っている。石造りの表面に、緑の苔が張り付いていた。  支えられた橋。先に見える稜線。生い茂る緑。佇んでいた男が、前に踏み出す。  ──硬い靴音が響いた。  風が山に飲み込まれ、還って来る。  ざわめき、囁いて。  中央まで歩を進め、脚を止めた。  顔を横に向け、景色を。  山脈。  蒼空。  流水。  全てを描いた。柔らかな穂先で。  耳を澄ませ、頷く。  渡り終えて振り返る。  橋の手前で、男が佇んでいた。  ──硬い靴底が鳴る。    色彩が降り注ぎ、暖かく写した。  ────光景を。

積まれた煉瓦

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   橙色の煉瓦が積まれる。長く、高く。端を丁寧に合わせながら、ゆっくりと重ねて。太陽の視線を受け、熱が籠る。  顔を下に向けると、街が拡がっていた。数多の人が歩んでいる。暫く眺め、眼前の煉瓦に触れた。風が、僅かに冷やす。  靴底を音もなく乗せた。梯子を一段登る。  担いだ背嚢に、縁まで詰まっていた。  減ることは、ない。  息が乱れ、身体が震えた。大きく吸って、全てを吐き出す。  空を見上げた。  ──あの、雲まで。  少し、揺れた。顔を街に向け、歯を食いしばる。視点を移して。  太陽と眼が合った。  手を開け、背に伸ばし──掴んだ。  ────煉瓦を積む。丁寧に。

枯葉と砂

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   風が顔を執拗に撫でる。瞬きの隙間を縫って、瞳に砂が吸い込まれた。  視線の先で揺らぐ。  枯葉が、枝から解かれて。  視界が滲み、瞼を閉ざす。目尻に溜まる雫に、短い黒線が混ざっていた。頬に張り付いたそれを、摘む。  瞬きを繰り返し、景色が色を取り戻す。  摘んだ指先を開いた。風に乗り、運ばれていく。  空に混ざり、見えなくなる。  ──枯葉と。  舞い、  巡り、  砕け──馴染んで。  ────砂と共に。

線の先は

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  丸い輪を型どる電灯が、瞳に景色を流し込む。天井に向けた目を瞬かせ、寝そべっていた。手を止めて、息を吐く。身体を起こして。  秒針が刻む。  滴り、溢れる。  水が、流れて。  ──音。  耳に入り、震わせる。  床に擦りながら膝を立て、腰を伸ばした。台所に足を運ぶ。白と黒の線を超えて。  光はもう、届いていない。  淡く桃色に揺らめく水槽。  覗くと、泡が弾けた。  鼓動が聞こえる。重なり、混ざって。  ──音。  暗闇に手を伸ばした。壁をなぞり、指を這わす。  黒が、白に反転した。  ────もう、聞こえない。

越えた後

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   天井に吊られた玩具の馬。三匹、佇んでいた。緋色の陽光が入り込み、部屋を暖かく照らす。サーキュレーターの硬い風が──長い髪を撫で、揺らし、乱した。  転がる弁当容器とペットボトル。キャビネットの上に立て掛けた写真に目を向けると、三人の笑顔があった。ゆっくりと立ち上がり、両手で包む。暫く眺めて、前に倒した。乾いた音が鳴る。  ソファーの上に、裂かれた小さな服。畳んで置いていた。腕の掻き傷に触れる。  蠅が旋回していた。羽音が耳に触れ、入り込む。頭で擦れ、反響した。  ──生臭いな。  小さなゴミ袋が置かれている。蛆が二匹、留まっていた。傷痕をなぞり、舌打ちする。  インターホンが鳴った。鍵を開ける音がする。腰を曲げて手を伸ばし、濡れた柄を握り締めた。静かに玄関に向かう。  ノブが回り、ドアが開いた。 「ただいま」    男が靴を脱ごうとして、動きを止める。綺麗にラッピングされた箱が、床でひしゃげた。  両手で握る包丁が、腹に冷たく潜り込む。  口を開けた男の眼が。  ────嗚咽する女を映す。見開かれたままで。

シリアルを咀嚼して

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  ──見つけた。   笑みを張り付けた顔が、ロッカーに設けられた隙間を覗きこむ。目が、合った。  扉が開かれ、女が叫ぶ。男は太い人差し指を口元に立て、手に持ったナタを捨てた。刃を染める色が床に筋を残す。掌がゆっくりと迫る。顔を掴まれ、握られた。細く白い手が腕を掴み、力を込めたがほどけない。  頭蓋が軋み、呻きと混ざった。湿り気を帯びた、軽く砕ける音が鳴る。両手を垂らした骸を引き摺り出して、廊下に投げ捨てた。  じっと見つめた。何も見えていない、瞳を。 溢れた涎に混ざる薄い赤色。唇に触れて指で掬う。口に運んで、中で転がす。にこりと微笑み、何度も頷いた。 「やっと捕まえた」  眼尻から伝い、流れ落ちる。  雫が床に跳ねて散らばり、拡がった。  両足首を持ち、引き摺っていく。向かう先には何体も倒れている。廊下にはワックスが塗られ、滑るように進む。横に視線を移すと、シューズロッカーが並んでいた。名札を確認する。  明るい校内。電灯の光が骸の顔を照らしていた。首を傾げて、足首から手を放す。  その場に置いて、歩き出した。校舎を出て車に向かう。    ──名前、なんだっけ。  キーを回して、エンジンを掛けた。傍らにある箱に手を突っ込み、放り込む。軽く砕ける音が車内に響く。ホルダーにあるミルクを口に含み、転がしながら唇を湿らせた。  暖かい日差しが校舎の入り口を映す。  ────赤が乾いていた。床に、張り付いたままで。

街の跡

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  小さな黄色い傘をさしながら、濡れた路面を歩いていた。灰色の雲が白くなる。降り注ぐ温かい光。湿った空気を乾かして。  橙色のズボン下。長靴が水溜まりを踏む。波紋を生んで飛沫を散らした。  傘は、畳まない。  表面にしがみつく水滴が。    転がり、  連なり、  落ちて──跳ねて。  持ち手を回すと、円を描く。雫が舞う。日差しが粒を反射して、少年の周りで輝いた。  蒸気が昇り、路面の水が消えていく。  蒼い空が、波紋の街を吸いこんで。  跡を残して、昇っていく。  傘を、畳む。  風が吹いて、生地が靡く。  滴り、揺れる。  流れ、伝って。  大きな黒い傘が、背中を見つめていた。  ────雨が降れば。また、街が。 曲はこちらから▶️ 「街の跡」