作品アーカイブ (目次)

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  更新通知⇨ RSSで新作を受け取る *文章にAIを一切使用していません。自分の感性だけで書きたいからです。曲と画像はAIで作成しています。 ─最新─              「筆の先で」        境界 「積まれた煉瓦」      感情 「枯葉と砂」        日常 「線の先は」        境界 ─ピックアップ─ テーマ  時間 「重なる景色」 ─テーマ別─ ─境界─       十四作品 ─時間─           七作品 ─循環─       十三作品 ─感情─           十一作品 ─万有─           七作品 ─価値観─   十五作品 ─日常─           十一作品 ─断片─           四作品 ─無─               三作品 ─掌編─    「筆の先で」         境界 「積まれた煉瓦」       感情 「越えた後」         境界 「シリアルを咀嚼して」    感情   「街の跡」          日常 「旋回する夜」        日常 「閉じた瞼」         境界 「瓦礫の理由」        境界 「配慮の有無」        価値観 「銀の牢獄」         境界 「重なる瘡蓋」        境界 「見えない顔」        日常 「神木の瞳」         価値観 「最後の理性」        感情 「月光に照らされて」     感情 「重なる景色」        時間 「境界の先で」        循環 「寄り添う枯葉」       日常 「いやし」          循環 「編まれゆく造形」      循環 「ずれた距離」        日常 「刻まれた断片」    ...

シリアルを咀嚼して



 ──見つけた。

 笑みを張り付けた顔が、ロッカーに設けられた隙間を覗きこむ。目が、合った。


 扉が開かれ、女が叫ぶ。男は太い人差し指を口元に立て、手に持ったナタを捨てた。刃を染める色が床に筋を残す。掌がゆっくりと迫る。顔を掴まれ、握られた。細く白い手が腕を掴み、力を込めたがほどけない。


 頭蓋が軋み、呻きと混ざった。湿り気を帯びた、軽く砕ける音が鳴る。両手を垂らした骸を引き摺り出して、廊下に投げ捨てた。


 じっと見つめた。何も見えていない、瞳を。

溢れた涎に混ざる薄い赤色。唇に触れて指で掬う。口に運んで、中で転がす。にこりと微笑み、何度も頷いた。


「やっと捕まえた」


 眼尻から伝い、流れ落ちる。

 雫が床に跳ねて散らばり、拡がった。


 両足首を持ち、引き摺っていく。向かう先には何体も倒れている。廊下にはワックスが塗られ、滑るように進む。横に視線を移すと、シューズロッカーが並んでいた。名札を確認する。


 明るい校内。電灯の光が骸の顔を照らしていた。首を傾げて、足首から手を放す。


 その場に置いて、歩き出した。校舎を出て車に向かう。

 

 ──名前、なんだっけ。


 キーを回して、エンジンを掛けた。傍らにある箱に手を突っ込み、放り込む。軽く砕ける音が車内に響く。ホルダーにあるミルクを口に含み、転がしながら唇を湿らせた。


 暖かい日差しが校舎の入り口を映す。


 ────赤が乾いていた。床に、張り付いたままで。

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