作品アーカイブ (目次)
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天井に吊られた玩具の馬。三匹、佇んでいた。緋色の陽光が入り込み、部屋を暖かく照らす。サーキュレーターの硬い風が長い髪を撫で、揺らし、乱した。
転がる弁当容器とペットボトル。キャビネットの上に立て掛けた写真に目を向けると、三人の笑顔があった。ゆっくりと立ち上がり、両手で包む。暫く眺めて、前に倒した。乾いた音が鳴る。
ソファーの上に、裂かれた小さな服。畳んで置いていた。腕の掻き傷に触れる。
蠅が旋回していた。羽音が耳に触れ、入り込む。頭で擦れ、反響した。
──生臭いな。
小さなゴミ袋が置かれている。蛆が二匹、留まっていた。傷痕をなぞり、舌打ちする。
インターホンが鳴った。鍵を開ける音がする。腰を曲げて手を伸ばし、濡れた柄を握り締めた。静かに玄関に向かう。
ノブが回り、ドアが開いた。
「ただいま」
男が靴を脱ごうとして、動きを止める。綺麗にラッピングされた箱が、床でひしゃげた。
両手で握る包丁が、腹に冷たく潜り込む。
口を開けた男の眼が。
────嗚咽する女を映す。見開かれたままで。
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