作品アーカイブ (目次)

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真実の景色

 


 太陽が降り注ぎ、眼球を照らした。入ることは出来ない。視界には無が拡がっている。⁠ただ、顔を向けていた。両手で杖を握り締めて。 

 瞼を閉じる。何もない世界に。

 触れることで輪郭を辿る。


 頭上に手を伸ばし、宙を掴んだ。


 掌から熱が沁みて。

 全身に巡り、それを知った。


 風が吹き、耳を撫でる。

 運ばれた緑葉の匂いと。

 鳴り響く旋律が──呼び起こす。


 緋を。

 蒼を。

 碧を。


 刻まれた記憶へ。

 細胞に触れて。

 その、奥まで。


 指を開いた。ゆっくりと杖が倒れる。

 色彩は還り、暗闇を濡らす。


 ────瞼の底で、溢れていた。

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