作品アーカイブ (目次)

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  更新通知⇨ RSSで新作を受け取る *文章にAIを一切使用していません。自分の感性だけで書きたいからです。曲と画像はAIで作成しています。 ─最新─              「無機物の渇望」      境界 「歪んだ花」         境界   「編まれた柱」       循環 「消えていく顔」      断片 「錯覚のまま」       断片 ─ピックアップ─ テーマ   万有 「10^-10^50の虚構」                  ─テーマ別─ ─境界─           十九作品 ─時間─               七作品 ─循環─           十七作品 ─感情─           十四作品 ─万有─               八作品 ─価値観─       十七作品 ─日常─           十一作品 ─断片─               八 作品 ─無─                   三作品 ─掌編─    「無機物の渇望」       境界 「歪んだ花」         境界 「消えていく顔」       断片 「錯覚のまま」        断片 「ただ、純粋に」       価値観 「選べるなら」        断片 「種の中で」         循環 「いない気がして」      境界 「跳ねたコイン」       価値観 「溢れた珈琲」        境界 「10^-10^50の虚構」       万有 「少女の花弁」        感情 「巡る日常」         境界 「視線...

何処へ向けて



  垂れ下がる太い綱を握り、何度か振る。大きな鈴が鈍い音を鳴らした。両手を合わせて目を閉じる。毎日、繰り返していた。

 俯いた頭に浮かぶ、眠っている若い女。長い睫毛が持ち上がる。此方を向いて、唇が動く。


 ──笑い声。


 視線を送ると、大人と手を繋いだ子供がいる。

 辿っていた。その瞳が見上げる顔を。


 女と、目が合う。

 紅い唇が微笑み、会釈して。


 目を見開き、瞬きを繰り返して頭を下げた。ふと、気付く。老夫婦が二人の後ろで睨んでいた。


 老人の皺が深く刻まれ、低い声が耳を突く。


「娘を見るな。どけ」


 頷き、足早に離れた。

 綱が揺れる。鈍い音を鳴らして。


 ──良かった。


 振り返る。捨てた人を。視線が交差した。首を傾げた女が、微笑んでいた。


 ────祈りが届く。己のための。

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