作品アーカイブ (目次)
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垂れ下がる太い綱を握り、何度か振る。大きな鈴が鈍い音を鳴らした。両手を合わせて目を閉じる。毎日、繰り返していた。
俯いた頭に浮かぶ、眠っている若い女。長い睫毛が持ち上がる。此方を向いて、唇が動く。
──笑い声。
視線を送ると、大人と手を繋いだ子供がいる。
辿っていた。その瞳が見上げる顔を。
女と、目が合う。
紅い唇が微笑み、会釈して。
目を見開き、瞬きを繰り返して頭を下げた。ふと、気付く。老夫婦が二人の後ろで睨んでいた。
老人の皺が深く刻まれ、低い声が耳を突く。
「娘を見るな。どけ」
頷き、足早に離れた。
綱が揺れる。鈍い音を鳴らして。
──良かった。
振り返る。捨てた人を。視線が交差した。首を傾げた女が、微笑んでいた。
────祈りが届く。己のための。
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