作品アーカイブ (目次)

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寄り添う枯葉



 エレベーターの扉が開く。人がひしめき合う中で、次々と降りる。俯いた男が、あとに掃き出された。胸を、ぎゅっと握って。


 木枯らしが纏わりつく。舗装された道を、踏み締めた。乾いた音が鳴る。粉々に散った、枯葉が。


 ゆっくりと歩を進めた。繁華街の喧騒。緋色の空が、染まっていく。静かな黒へ。


 親子とすれ違った。子供が微笑み、返す母親。手提げ袋を、両手に抱えて。


 眺めていると、唇が緩んだ。


 前を向き、歩く。足速に。木枯らしはもう、止んだ。玄関前で立ち止まる。


 息を吐いて、ノブを掴んだ。


「ただいま」


 幼い子供が駆けて来る。勢いよく抱きついて。


「おかえり!」


 笑っていた。娘と共に。


 奥から聞こえる、食器の音。

 微かに、匂いがした。


 枯葉が舞い、触れる。


 ────欠片に寄り添って。

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