作品アーカイブ (目次)

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  更新通知⇨ RSSで新作を受け取る *文章にAIを一切使用していません。自分の感性だけで書きたいからです。曲と画像はAIで作成しています。 ─最新─              「無機物の渇望」      境界 「歪んだ花」         境界   「編まれた柱」       循環 「消えていく顔」      断片 「錯覚のまま」       断片 ─ピックアップ─ テーマ   万有 「10^-10^50の虚構」                  ─テーマ別─ ─境界─           十九作品 ─時間─               七作品 ─循環─           十七作品 ─感情─           十四作品 ─万有─               八作品 ─価値観─       十七作品 ─日常─           十一作品 ─断片─               八 作品 ─無─                   三作品 ─掌編─    「無機物の渇望」       境界 「歪んだ花」         境界 「消えていく顔」       断片 「錯覚のまま」        断片 「ただ、純粋に」       価値観 「選べるなら」        断片 「種の中で」         循環 「いない気がして」      境界 「跳ねたコイン」       価値観 「溢れた珈琲」        境界 「10^-10^50の虚構」       万有 「少女の花弁」        感情 「巡る日常」         境界 「視線...

山頂の霧



 倒木に腰掛けていた。霧が拡がり、景色が滲む。陽光は遮られ、空は灰色に塗られていた。


 登山靴が泥に汚れている。ザックに手を伸ばし、行動食を取り出す。棒状のチョコレートを歯で挟み、噛み切る。ゆっくりと咀嚼した。甘味が、疲れを癒す。


 膝に手を添え、立ち上がった。


 冷たい風。通り過ぎる際に、全てを撫で、煽り、揺らした。 胸が、ざらつく。


『あいつ、いつも一人だよな』


 顔を顰め、首を振る。歯を食いしばって、進む。


 登山道を逸れると、枯木が乱雑に並んでいた。枝がしなる。枯葉が土に積もって。むせかえるような、自然の匂い。


 ──頂上まで、まだあるのか。


 浅く息を吐きながら、踏み締める。柔らかく湿った土に、靴跡を残していく。


 虫の鳴き声が、時折聞こえる。鳥の囀りも。

胸に触れて、微笑む。周囲を見渡し、山を見つめた。


 ──孤独じゃない。


 木の軋み。

 虫の鳴き声。

 鳥の囀り。


 男の呼吸。


 全てが重なり、響き合う。区別など、ないように。

顎先から一滴、溢れ落ちる。


 最後の歩が、届いた。


 稜線が描く、境界。天と地を分けて。霧に隠されたそれが、伝える。僅かに届いた光が、男を照らして。


 大きく息を吸い込み──叫んだ。


 木霊が答える。自然を宿し、肯定を含んで。


 言葉は、もう聞こえない。


 ────山を覆う、霧。その先には、鮮やかな景色が広がっている。


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