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変わらない夜

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   壁が鳴っている。鈍く、重く。等間隔に繰り返していた。仰向けのまま頭を巡らせ、視線を定める。

記憶の中で

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   黄色いシャツの袖から伸びた、褐色の腕。肌に滲み、浮いて伝う。爪先を立て、回っていた。

蝉に向けて

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 幹にしがみつき、腹を震わせ響かせる。呼応して連なり、音が膨らんだ。立ち並ぶ木々に反響し、街を包む。

生まれた世界で

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 眼球が土に根を張り巡らせている。  瞼は、ない。

消えていく顔

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 女の顔が紅潮していた。唾を飛ばし、捲し立てて。対面に座る、その視線を受け止める男。顎髭を撫で、静かに紡いだ。

錯覚のまま

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  記憶を辿って言葉を交わす。何度も見た、同じ顔と。僅かにズレて。

選べるなら

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  淡い橙色の液に浸され、形成していた。透明な皿に乗せられ、線を刺し込まれる。

断片の定め

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  瞼の裏に浮かぶ光景を、微睡みの中で眺めていた。

刹那の輪廻

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  瞬刻の目覚め。刺激され、吐き出した。羅列する文字を。従い、組み合わせただけで。最後の一行を、書き終える。

刻まれた断片

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  寝そべったまま手を眺める。腕、甲、指。順番に視線を這わせて。深く刻まれた、皺。

映す鏡

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   薄闇に流れる風が、紐に結んだ紙を煽る。風鈴が揺れ、澄んだ音が鳴った。若者が騒ぐ声と響きながら。

記憶の欠片

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  窓のカーテンを押し上げる。 穏やかな陽光と共に、涼風が入り込んだ。空気を入れ替え、清浄を満たして。