作品アーカイブ (目次)

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  更新通知⇨ RSSで新作を受け取る *文章にAIを一切使用していません。自分の感性だけで書きたいからです。曲と画像はAIで作成しています。 ─最新─              「歪んだ花」         境界   「編まれた柱」       循環 「消えていく顔」      断片 「錯覚のまま」       断片 「ただ、純粋に」       価値観  ─ピックアップ─ テーマ   万有 「10^-10^50の虚構」                  ─テーマ別─ ─境界─           十八作品 ─時間─               七作品 ─循環─           十七作品 ─感情─           十四作品 ─万有─               八作品 ─価値観─       十七作品 ─日常─           十一作品 ─断片─               八 作品 ─無─                   三作品 ─掌編─    「歪んだ花」         境界 「消えていく顔」       断片 「錯覚のまま」        断片 「ただ、純粋に」       価値観 「選べるなら」        断片 「種の中で」         循環 「いない気がして」      境界 「跳ねたコイン」       価値観 「溢れた珈琲」        境界 「10^-10^50の虚構」       万有 「少女の花弁」        感情 「巡る日常」         境界 「視線と誇り」        感情 ...

消えていく顔



 女の顔が紅潮していた。唾を飛ばし、捲し立てて。対面に座る、その視線を受け止める男。顎髭を撫で、静かに紡いだ。


 目を見開き、細い腕を振り降ろす。


 ──机が鳴る。


 グラスが僅かに跳ね、琥珀が波打つ。零れた一滴が天板を伝い、木目に滲んだ。


 視線が集まる。


 痺れる掌を摩り、紅い唇を閉ざした。

 火照った頬を震わせながら。


 男が周囲に顔を巡らす。幾つもの目が散らばった。


 向き直り、濡れた瞳を見据える。咳払いを、一つ漏らして。


 女が大きく息を吸い込み、ゆっくりと吐き出す。


 身体が冷える。

 頬も染まっていない。


 にこりと微笑み、席を立った。


 男の鼓動が早くなる。

 不規則に言葉を連ねていた。


 ヒールが床を硬く鳴らす。

 交互に繰り返す先で、ドアが開いた。


 鈴が、揺れる。


 闇が覗き、女を呑み込む。

 澄んだ音を残して。


 ────顔はもう、思い出せない。


 

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