作品アーカイブ (目次)

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虚構の中で

 


 己の腕に触れていた。肩に沿って撫でると、ざらつく皮膚が掌を擦る。顎が細かく震え、歯を噛み鳴らしていた。


 一歩、後ずさる。

 紅白を彩る土が、僅かに沈んだ。


 何度も胸を揺らして吐き出される息。

 白く染まり、直ぐに霧散していく。


 瞳に映す。

 仰向けの胴体を。


 腹に頭が乗っている。千切れた手が、胴の傍に置かれていた。


 纏う布は、ない。

 ただ、生地の切れ端が撒かれていた。


 視線が絡む。

 同時に、口を開いて。


「これは、何が......」

『繋げて』


 瞼を閉じて首を振る。親指と人差し指でこめかみを挟んで。前を踏み、静かに近付く。


 硬く、冷たい腕を掴んだ。断面に合わせ、押し付ける。手を離し、霜が降りた顔に触れた。


 頭が揺れ──落ちる。


 一度跳ねて、転がっていく。

 静止した先で、宙を眺めて。


 咆哮が耳奥に残っている。

 咀嚼音と共に。


 宙を眺めていた。

 数多の結晶は、もう。


 ────私か。

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