作品アーカイブ (目次)

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眼球の奥

 


 瞼を透かして眼球に届く。朦朧とした頭を振り、目を開いた。⁠ゴミ箱の傍に積まれた段ボールの上に横たわっている。汚れた壁に反射した光が埃を照らし、輝く幕を引いていた。

 アルコール臭が服に沁みている。鼻腔に届いて胃を震わす。せりあがり、茶色い液が吐き出された。


 エンジン音と雑談する声。

 色は入れ替わり、絶え間なく続く。


 ゆっくりと腰を上げる。脚がもつれ、膝を抱えた。路地裏を進み、大通りに出る。舗装された道を歩いていく。幾多の視線に絡まれ、俯いて。


 ──電子音。


 視線の先に自販機がある。靴底を擦りながら近付く。尻を探り、ポケットから財布を取り出した。貨幣を摘まみ、前に突き出す。


 指を、離した。


 中で転がり、硬い音が鳴る。点灯したボタンを強く押す。


 何度も。

 繰り返して。


 アルミ缶が降って来る。

 手を伸ばし、掴んだ。

 掌を冷やし、僅かに濡らす。


 瞳を閉ざした。

 瞼を透かして眼球に届く。


 頭を振り、目を開いた。


 ────奥に描く。その、現実を。

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