作品アーカイブ (目次)
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鉱脈に滑り込む先端。穿ち、突き刺す。硬質な響きを耳に残して。零れ落ちた欠片が床を跳ねる。鶴嘴を食い込ませたまま、手を止めた。
首に巻いた手拭いを掴み、ゆっくりと顔を擦る。黒が移され、生地に滲んだ。鉱脈に滑り込む先端。穿ち、突き刺す。硬質な響きを耳に残して。
零れ落ちた欠片が床を跳ねる。鶴嘴を食い込ませたまま、手を止めた。首に巻いた手拭いを掴む。ゆっくりと顔を擦る。黒が移され、生地に滲んだ。
水流の音が聞こえる。
熱水が岩の隙間を流れていた。割れ目を縫って、紡いでいく。
──天井が、揺れた。
岩が欠け、亀裂が拡がる。落石が降り注ぐ。大勢の叫びに鼓動が早まる。駆け出す男の背を、欠片が抉って。うつ伏せに倒れ、振動を感じた。
瞼が降り、闇に溶ける。
────
水滴が頬を伝う。身体は動かない。指先に触れる、冷たいもの。掌で包んだ。隙間から光が差し込む。
薄目に映す光景。唇が震え、声が出ない。
──鏡面の世界。数多の洞窟が、反響する。
鉱石に囲まれていた。僅かな光が増幅する。中心にいる男を写して。
握っていた輝く鉱石。歪んだ顔が映っていた。腕が動く。顔前に運び、目を開いた。
覗いた先の景色が。揺らぎ、塗り替わる。
────
硬質な音が聞こえた。反響し、手拭いが靡く。鉱脈に突き刺さった鶴嘴。
零れた欠片。
水流の音。
滲む手拭い。
──天井が、揺れた。
叫んでいた。皆に呼びかけ、駆け出す。
────握られた鉱石。鈍く、黒く。
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