作品アーカイブ (目次)

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巡りゆく炎

 


 杭に縛られ、俯いている。人の群れが囲んでいた。靴底で地を叩き、地鳴りを起こして。握った拳を掲げ、叫んでいた。

 松明に火が灯され、くべた薪に連ねていく。

 口から垂れた滴りが、顎先から零れた。


 乾いた音。

 鋭く、短く。


 黒煙に混ざる。


 身体が跳ねる度に縄が食い込む。

 刻まれた痕は剥がれ続けて。


 漏れ出る声が搔き消され、踊る炎を全身に纏った。


 黒く、脆く。

 炭の塊が崩れる。


 怒号と共に舞い上がり。

 灰として運ばれていく。


 緋が欠片を照らす。

 焦げた臭いを、跡に残して。



────

 塵が降り、土に沈む。種に触れて、じっと滲んだ。蒼が鉛色に染まり、溢れ落ちる。


 無数の線を描きながら。

 沁みて、浸して。


 陽と風が雲を散らせて光を注いだ。

 僅かに鳴る。


 殻を破り、ゆっくりと。 

 芽吹き、伸ばしていく。


 蝶が揺らめき、匂いを辿った。花弁をしならせ、口吻を伸ばす。吸ったあとに葉へ留まる。


 鱗の傍に、丸い粒を置いた。


 音もなく割れる。

 這い回り──しがみつく。


 齧り続け。

 葉脈を残して。


 音が近付く。

 羽ばたく影が、包み込む。



────

 咥えたものを飲み込んでいた。喉が膨らみ、直ぐに萎む。首を振り、枝を蹴った。


 轟音が響く。

 重く、震えて。


 螺旋を描いて落下する。


 剥がれた木端と。

 飛沫く紅。

 抜け浮く羽根に絡み付いた。


 足音が近付く。

 草を踏み締め、見下ろしていた。


 硝煙を眺め、銃口に息を吹きかける。


 首を掴んで持ち上げた。

 頷き、担いだ袋に放り込む。


 緋が、沈んでいく。



────

 毟った羽根を床に重ねる。椅子を軋ませ、肉を棒に突き刺した。火に翳し、皿に乗せる。


 薪が爆ぜる音が咀嚼と混ざり、部屋を満たした。コップを握り、唇を湿らせる。テーブルに肘を着き、頬を支えて。


 ──硬く、擦れる音。


 顔を向けると、鉄の先端が扉から突き出ている。木は裂かれ、扉が砕けた。


 外の闇に甲冑が並んでいる。


 怒号の下に組み伏せられた。

 縛られ、頭上で紙を読み上げられる。


 瞳に映した。

 暖炉の灰が、炎と巡る。


 ────その、光景を。

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