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同じ街



屋根を、見つめていた。


煙突から昇る煙。輪を描き、ほどけていく跡。残された、蒼天。


真上から降り注ぐ、光の帯。拡がり、照らし、包む。


──地面に張り付く、黒い影。


前を向き、喧騒に視線を合わす。揺らめく影と共に。雑踏の下で重なり、交錯する。互いの街が。


声を出す人々。唇だけ動く人々。


靴を踏み締め、歩を進めた。煙草を咥え、火を灯して。爪先から伸びた男も、同時に。


──昇る煙と、地を這う黒煙。


色彩豊かな光景。煉瓦の壁、石造りの道、樹木の葉。視線を落とすと、その輪郭を象っていた。


平面に揺れる男が、歩いていく。時折、単色の建物に紛れて。


青空が、茜色に塗られていく。形が、保てない。

摘んだ指を開け、踏み消す。煙が、途絶えた。


家屋から漂う、肉が焼ける匂い。腹が鳴る。鼻を膨らませ、速足で歩く。滴る汗と、地を這う汗。地面で混ざり、一つとなった。


緋色に染まった世界が、薄暗く沈んでいく。


──焼ける匂いが、しない。


街と男が、闇に溶ける。


見慣れた景色を、無数の影が歩く。

足音もなしに。


────黒煙が昇る。環を描いて。

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