作品アーカイブ (目次)
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滲む視界の先で、男が笑っている。その脚が小さな身体を踏んでいた。靴底で沈む裂けた腹から紅く漏れ、零れ落ちる。茂る緑を染めながら拡がっていた。
雄叫びを上げて剣を引き抜く。
地を蹴り、土が飛び散る。柄に力を込め、切先を前に突き出す。
男は握った斧を軽く振る。粘ついた滴りを斑らに落として。鈍く硬い音が鳴り、腕が跳ね上がる。痺れを残し、剣が宙に回転していた。
足音が迫る。
跳躍して腕を伸ばし、剣を掴んだ。体重を乗せて下に振り抜く。見開いた瞳が刀身を映した。
重く響き、欠片が飛ぶ。眼前の斧を押し込み、男の眉間に刃が潜る。
仰向けに倒れていく。地に頭を打ちつけ、灰褐色を撒き散らした。
立ち上がり、顔を何度も踏み抜く。
長い髪がその度に揺れた。
両手を垂らし、空を見上げる。傾いた緋に目を細め、指を開いた。欠けた刃が地に伏せる。
怒号が近付いていた。
ゆっくりと小さな骸に歩み寄る。
膝を折り、そっと頬を撫でた。
唇が紡ぐ。
高く、澄んだ声を震わせて。
────頭上の鉄が、緋く照らす。
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