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跡を残して

 


 砂を掬って拾い上げた。熱を纏い、体温と混ざる。掌で流れ、指の隙間を滑り落ちて。

 樹皮にしがみついた蝉が、腹を震わせている。響きの中で零れ続けていた。


 振動する空気を伝い、揺らされて。


 水平線から音が近付く。

 小さな、波。


 暖かい飛沫を散らし、受け止めた砂が色を変えた。


 濃く、重く。


 太陽が傾き、空を塗り替える。

 足跡が置かれていた。途切れまで。


 ────波が、跡を攫う。

コメント

  1. ランハムです
    『この跡を残して』は飛び立った蝉が生き抜く。
    『飛び去る欠片』は蝉が命を持つより前、色んな命を宿していく。
    同じ個体の蝉の一生のように感じました。
    一瞬、暖かい飛沫はクジラかな?
    とも考えたり…。
    Shige様の意図する世界とズレてるかもしれませんが、楽しい想像のひと時をありがとうございます。


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    1. ランハムさん、コメントをありがとうございます。
      また、広がりました。あなたの素晴らしい感覚が世界に奥行きを与えてくれています。抽象的で上手く言えませんが......
      温かい感性に、感謝いたします。

      削除

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