作品アーカイブ (目次)

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淵の端から

 


 草を握って力を込めた。土が盛り上がり、跳ねて散らす。背負った籠に手を伸ばして、指を離した。少し、積みあがる。

 腰に手を当て、背筋を伸した。

 降り注ぐ熱を全身に浴びながら。


 ふと、視線を留めた。大きな石に。

 頭皮が滲み、垂れて来る。


 髪を濡らし、

 頬を伝い、

 首筋を辿り──襟に吸われて。


 肌にシャツが張り付き、白い模様を斑に描く。視線を外し、息を吐いた。瞬きのあとに額を拭う。


 肩紐を掴んで籠を降ろす。


 淵で、浮きあがる。

 宙に舞う緑を、追っていた。


 湿った風が乾いていく。

 景色は、緋に。


 雲から一滴、溢れた。

 石に触れる。


 深く、頭を下げた。片膝を就き、両手の指を絡ませる。


 ────動かない。ただ、濡れただけで。

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