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波紋の街



舗装された路面に、波紋が幾つも描かれる。消える間もなく、生まれ続けて。雨粒が、地を打つたびに。


ふと、途絶えた。遮る傘の上で踊り、跳ねる。滴り落ちて、また──


空を見上げた。巨大な暗い雲が、灰色に塗り潰す。雫の一団が襲いかかる。俯いて、踏み出した。円環が飛沫に変わり、繰り返す。


──見慣れた、光景。


傘の群れが、雨滴を散らす。踊り、跳ねて、溢れ落ちて──


歩く先に子供がいた。じっと見つめている。地面に絶え間なく連鎖する輪。消えて、産まれ、巡る、小さな世界を。


車が道路を走り抜ける。波を起こして。

躱した子供と、目があった。にこりと笑って、また視線を落とす。つられて追う。


大きな黒い傘と、小さな黄色い傘。

避けて進む、色彩の連なり。顔を上げて、口を開く。


「不思議だね。」


笑顔で紡いだ。持ち手を回して、水溜まりを踏む。水滴を纏って駆けていく。


暖かく湿った匂いが、残されていた。


空を見上げる。太陽が雲を蹴散らし、雨を払う。

波紋が消えた。照らされ、宙に還り、巡りだす。


───子供の背中に、呟いた。

             「ありがとう。」

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