作品アーカイブ (目次)

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命の唄

 


 蝶がゆらゆらと浮かぶ。風に舞う、鱗粉を撒きながら。眼下には、色彩豊かな群れ。むせかえるような匂いを放ち、咲き誇る花。


 脚を乗せて、口吻を伸ばす。差し込み、命の交錯が始まる。花粉を散らせて。


 ──子を、蝶に託した。


 無自覚に飛び立つ。託された命を付着したままに。陽光に照らされ、粉が輝く。


 種子が土に降り、溶け込んだ。ただ飛ぶだけで、役目を果たす。繋がりが、形になる。


 光を遮り、翼の影が落ちた。鳥が、胴を咥え込む。数刻の間に、一つとなる。何度か羽ばたき、枝を掴んだ。


 ──存在の、意識。


 石が、沈黙の内に。

 木が、葉を擦って。

 虫が、鳴いた。


 生命の唄。ただ、在るだけで。


 ────幻想の中で、形を成す。真実として。

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