作品アーカイブ (目次)
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ブランコに座り、鎖を握る。冷たい感触。砂粒が隙間で擦れた。上着で払い、指を閉じる。
砂場に残された小さな山。開けたトンネルがさらさらと埋まっていく。少年はじっと見ていた。自分の創造が、静かに崩れていく様子を。
雑草の茂みが揺れた。コオロギが鳴いたから。
落ち葉が舞う中で、連なる靴跡。その先で少女が腰をおろす。スコップを握りしめて。先端が、差し込まれた。削れていく山。
少年はただ見つめる。額に皺を刻んで。
僅かな跡が残る。穴を掘り、少女は立ち上がった。駆けていく。小さなバケツを持って。水道の前で、栓を捻る。蛇口から溢れ続ける水。
底を叩く音に、踵でリズムを踏む。満たされていく器。水面が揺らめき、光を散らした。
両手に抱えて歩き出す。跳ねた水滴が、少女の服を濡らす。旋回しながら髪を撫でる。柔らかい、風が。
弧を描く二枚の葉。
くるくると踊り、交差した。
緑葉と、紅葉。
──湿った、砂の匂いがした。
視線を向ける。
瞳が少年を映していた。不意に、口を開いた。
「川になるんだよ。」
穴は満たされ、波紋が拡がる。溝が長く掘られていく。辿って、流れる水。
「山が、なくなった。」
少女は無邪気に笑って、スコップを差し出す。
「......戻す?」
少年は首を振る。額の皺は、ない。
鳴き声は止んでいた。
───流れる水が、二人を映して。
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