作品アーカイブ (目次)

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  更新通知⇨ RSSで新作を受け取る *文章にAIを一切使用していません。自分の感性だけで書きたいからです。曲と画像はAIで作成しています。 ─最新─              「無機物の渇望」      境界 「歪んだ花」         境界   「編まれた柱」       循環 「消えていく顔」      断片 「錯覚のまま」       断片 ─ピックアップ─ テーマ   万有 「10^-10^50の虚構」                  ─テーマ別─ ─境界─           十九作品 ─時間─               七作品 ─循環─           十七作品 ─感情─           十四作品 ─万有─               八作品 ─価値観─       十七作品 ─日常─           十一作品 ─断片─               八 作品 ─無─                   三作品 ─掌編─    「無機物の渇望」       境界 「歪んだ花」         境界 「消えていく顔」       断片 「錯覚のまま」        断片 「ただ、純粋に」       価値観 「選べるなら」        断片 「種の中で」         循環 「いない気がして」      境界 「跳ねたコイン」       価値観 「溢れた珈琲」        境界 「10^-10^50の虚構」       万有 「少女の花弁」        感情 「巡る日常」         境界 「視線...

いない気がして



 アルバムの中で笑っていた。分厚いページを捲る度に、子供の笑顔が目に入る。紙の擦れる音と共に、少しずつ身体が大きくなって。

 棚の上に、視線を移した。

 額縁の少年と目が合う。微笑み返して、顔を伏せた。開いたアルバムがぼやけて見える。人差し指で瞼の下を拭い、息を吐いた。

 冷水筒に手を伸ばし、硝子のコップに注ぐ。

 静かな部屋に、波打つ音が響いた。


 縁を唇に当て、喉に流す。

 テーブルに硬い音が鳴り、水面が揺らぐ。

 アルバムに手を触れて、写真を見つめた。


 輪郭をなぞり、口から零れ出る。


「此処にいるね」


 掌を胸に当て、額縁に視線を向けて。


 ────確かに、笑っていた。

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