作品アーカイブ (目次)

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  更新通知⇨ RSSで新作を受け取る *文章にAIを一切使用していません。自分の感性だけで書きたいからです。曲と画像はAIで作成しています。 ─最新─              「筆の先で」        境界 「積まれた煉瓦」      感情 「枯葉と砂」        日常 「線の先は」        境界 ─ピックアップ─ テーマ  時間 「重なる景色」 ─テーマ別─ ─境界─       十四作品 ─時間─           七作品 ─循環─       十三作品 ─感情─           十一作品 ─万有─           七作品 ─価値観─   十五作品 ─日常─           十一作品 ─断片─           四作品 ─無─               三作品 ─掌編─    「筆の先で」         境界 「積まれた煉瓦」       感情 「越えた後」         境界 「シリアルを咀嚼して」    感情   「街の跡」          日常 「旋回する夜」        日常 「閉じた瞼」         境界 「瓦礫の理由」        境界 「配慮の有無」        価値観 「銀の牢獄」         境界 「重なる瘡蓋」        境界 「見えない顔」        日常 「神木の瞳」         価値観 「最後の理性」        感情 「月光に照らされて」     感情 「重なる景色」        時間 「境界の先で」        循環 「寄り添う枯葉」       日常 「いやし」          循環 「編まれゆく造形」      循環 「ずれた距離」        日常 「刻まれた断片」    ...

越えた後

 


 天井に吊られた玩具の馬。三匹、佇んでいた。緋色の陽光が入り込み、部屋を暖かく照らす。サーキュレーターの硬い風が──長い髪を撫で、揺らし、乱した。

 転がる弁当容器とペットボトル。キャビネットの上に立て掛けた写真に目を向けると、三人の笑顔があった。ゆっくりと立ち上がり、両手で包む。暫く眺めて、前に倒した。乾いた音が鳴る。


 ソファーの上に、裂かれた小さな服。畳んで置いていた。腕の掻き傷に触れる。


 蠅が旋回していた。羽音が耳に触れ、入り込む。頭で擦れ、反響した。


 ──生臭いな。


 小さなゴミ袋が置かれている。蛆が二匹、留まっていた。傷痕をなぞり、舌打ちする。


 インターホンが鳴った。鍵を開ける音がする。腰を曲げて手を伸ばし、濡れた柄を握り締めた。静かに玄関に向かう。


 ノブが回り、ドアが開いた。


「ただいま」

 

 男が靴を脱ごうとして、動きを止める。綺麗にラッピングされた箱が、床でひしゃげた。


 両手で握る包丁が、腹に冷たく潜り込む。


 口を開けた男の眼が。


 ────嗚咽する女を映す。見開かれたままで。

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