作品アーカイブ (目次)

イメージ
  更新通知⇨ RSSで新作を受け取る *文章にAIを一切使用していません。自分の感性だけで書きたいからです。曲と画像はAIで作成しています。 ─最新─              「無機物の渇望」      境界 「歪んだ花」         境界   「編まれた柱」       循環 「消えていく顔」      断片 「錯覚のまま」       断片 ─ピックアップ─ テーマ   万有 「10^-10^50の虚構」                  ─テーマ別─ ─境界─           十九作品 ─時間─               七作品 ─循環─           十七作品 ─感情─           十四作品 ─万有─               八作品 ─価値観─       十七作品 ─日常─           十一作品 ─断片─               八 作品 ─無─                   三作品 ─掌編─    「無機物の渇望」       境界 「歪んだ花」         境界 「消えていく顔」       断片 「錯覚のまま」        断片 「ただ、純粋に」       価値観 「選べるなら」        断片 「種の中で」         循環 「いない気がして」      境界 「跳ねたコイン」       価値観 「溢れた珈琲」        境界 「10^-10^50の虚構」       万有 「少女の花弁」        感情 「巡る日常」         境界 「視線...

同じ街



 
屋根を見つめていた。


 煙突から昇る煙。輪を描き、ほどけていく跡。残された蒼天。


 真上から降り注ぐ、光の帯。


 拡がり、

 照らし、

 包む。


 ──地面に張り付く、黒い影。


 前を向き、喧騒に視線を合わす。揺らめく影と共に。雑踏の下で重なり、交錯する──互いの街が。


 声を出す人々。唇だけ動く人々。


 靴を踏み締め、歩を進めた。煙草を咥え、火を灯して。爪先から伸びた男も、同時に。


 ──昇る煙と、地を這う黒煙。


 色彩豊かな光景。


 煉瓦の壁、

 石造りの道、

 樹木の葉。


 視線を落とすと、その輪郭を象っていた。


 平面に揺れる男が歩いていく。時折、単色の建物に紛れて。


 青空が茜色に塗られていく。形が保てない。摘んだ指を開け、踏み消す。煙が途絶えた。


 家屋から漂う肉が焼ける匂い。腹が鳴る。鼻を膨らませ、速足で歩く。


 滴る汗と、地を這う汗。地面で混ざり、一つとなった。


 緋色に染まった世界が、薄暗く沈んでいく。


 ──焼ける匂いが、しない。


 街と男が闇に溶ける。


 見慣れた景色を無数の影が歩く。

 足音もなしに。


 ────黒煙が昇る。環を描いて。

コメント

このブログの人気の投稿

作品アーカイブ (目次)

境界の鏡

雨上がりの空