作品アーカイブ (目次)

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種の中で



 黄金と緑の階調が拡がっていた。風が吹く度に揺れ、色彩を塗り替える。その波に、違う色が混ざっていた。

 一輪、咲いて。


 花弁に蝶が乗っていた。口吻を差し込み、吸い込む。僅かに羽ばたき、暫く留まる。


 満たされた身体。触角が上下に動く。脚で蹴り、桃色がしなる。


 鱗粉が舞い──飛翔した。


 宙を静かに進んでいく。複眼が映す、数多の景色が切り替わって。脚に付いた種子が零れる。

 

 揺蕩い、ゆっくりと落下した。

 黒土が敷かれた地面に。

 

 遮るものがない蒼空。強烈な陽光が水面を照らしていた。

 

 蒸気が昇り、

 集まり、

 固まる。


 白く浮いたそれは風に運ばれ、流れていく。

 連なり、暗く、重くなる。


 ──ほどけ落ちて。


 粒が、種子に跳ねた。土を湿らせ、潜りこむ。無数に降り注ぎ、深く沈めた。


 巨大な灰色が萎んでいく。


 空が。

 蒼く、茜に──闇へ。


 幾度も。

 繰り返して。


 咲き誇る花を、複眼が数多に映す。鱗粉が舞い、六本の脚が踏んだ。


 ────桃色が、しなる。

コメント

  1. ランハムです。
    蝶は好きでじっと眺めますけど、
    こんなに繊細な世界で今まで見つめたことはなかったです。
    Shige様の世界は蝶にカメラをつけたように美しいです。さすが…。
    私は理解が遅いので最低でも3回は読み返して、あ〜なるほど!
    そうやって読むShige様の文章は
    とても面白いです。
    素敵な作品をありがとうございます。

    返信削除
  2. ランハムさん、感じたことを伝えてくださり、感謝いたします。
    何度も読み返して。とても嬉しい言葉。私が感じたそのままの情景を切り取れたらと思って書いています。
    蝶、とても綺麗です。あの眼でどんな風に景色を見ているのかを想像すると、楽しいです。
    丁寧に読んでいただいて、感謝いたします。ありがとう。

    返信削除

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