作品アーカイブ (目次)

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10^-10^50の虚構

  


 空間に形成される。柔らかく、幾つもの皺が複雑に編まれた存在が。真空に拡がる暗い世界で、瞬く光点に囲まれていた。

 表面の桃色の奥に、電気信号が走り続ける。

 散らばる断片を並べ、組み上げていく。


────

 妻と寄り添い、脚を伸ばして座っていた。星が煌めく夜空を眺めながら、顎髭をさする。隣に顔を向け、視線を交わす。腕を背中に回し、細い身体を掴んだ。掌に伝わる、温かい脈動。


 頭を肩に乗せて微笑む妻。口を開き、静かに呟いた。その言葉に頷き、妻の大きな腹に触れる。


 冷たい風が通り抜け、頬を撫でていく。上着を脱いで妻に羽織り、立ち上がる。差し伸べた手が握られた。引き起こし、臀部をはたく。草を踏みしめ、並んで歩いた。


 足下が揺れ──地鳴りが響く。


 バランスを崩した妻を抱え、その場に伏せる。ひび割れが迫り、崩れ、飲み込まれた。


 叫び声が耳を突き刺す。音の濁流に搔き消され、視界が赤く染まる。暗闇に覆われ、閉じていく。


────

 真空を漂っていた。桃色の、複雑に編まれた存在が。ばらばらにほどけ、霧散する。


 ──静寂が続く。

 

 幾つかの光点が弾け、また産まれて。


 繰り返し、

 何度も。


 また──

 

 粒子が、集まっていた。


 ────揺らぎ、形成されて。


 


 


 

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