作品アーカイブ (目次)

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  更新通知⇨ RSSで新作を受け取る *文章にAIを一切使用していません。自分の感性だけで書きたいからです。曲と画像はAIで作成しています。 ─最新─              「無機物の渇望」      境界 「歪んだ花」         境界   「編まれた柱」       循環 「消えていく顔」      断片 「錯覚のまま」       断片 ─ピックアップ─ テーマ   万有 「10^-10^50の虚構」                  ─テーマ別─ ─境界─           十九作品 ─時間─               七作品 ─循環─           十七作品 ─感情─           十四作品 ─万有─               八作品 ─価値観─       十七作品 ─日常─           十一作品 ─断片─               八 作品 ─無─                   三作品 ─掌編─    「無機物の渇望」       境界 「歪んだ花」         境界 「消えていく顔」       断片 「錯覚のまま」        断片 「ただ、純粋に」       価値観 「選べるなら」        断片 「種の中で」         循環 「いない気がして」      境界 「跳ねたコイン」       価値観 「溢れた珈琲」        境界 「10^-10^50の虚構」       万有 「少女の花弁」        感情 「巡る日常」         境界 「視線...

神木の瞳


 色褪せた刃が幹に食い込む。枝がしなり、葉が揺れて。澄んだ音が響き、乾いた欠片が散らばる。柄を持つ手が湿り、僅かに滑った。斧を地に立て、額を拭う。

 囀りを繰り返していた鳥。枝を蹴って羽ばたいた。目で追いながら両手で握り直す。振りかぶり、力を込めて。繋がりを、断つ。


 ──葉が、ざわめいた。


 ゆっくりと折れていく。湿り気を帯びた、裂かれる音。横たわり、地面を抉った。樹木の上で鳥が囀る。黒い瞳が覗いていた。土に沈む、注連縄を映して。


 視線を交わし、笑みを浮かべる。斧を投げ捨て、口を開く。


「役目が終わったんだ」


 鳥を見つめ、紡いだ。


「......ありがとう」


 切り株に向き直り、年輪を認めた。

注連縄を拾い、付いた泥を丁寧に拭う。


 斧を掴んで歩き出す。


 囀りは聞こえない。冷たい風が葉を撫でた。ざわめきだけが、残されて。


 ────黒い瞳が見つめている。男の背中を。

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