作品アーカイブ (目次)

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  更新通知⇨ RSSで新作を受け取る *文章にAIを一切使用していません。自分の感性だけで書きたいからです。曲と画像はAIで作成しています。 ─最新─              「無機物の渇望」      境界 「歪んだ花」         境界   「編まれた柱」       循環 「消えていく顔」      断片 「錯覚のまま」       断片 ─ピックアップ─ テーマ   万有 「10^-10^50の虚構」                  ─テーマ別─ ─境界─           十九作品 ─時間─               七作品 ─循環─           十七作品 ─感情─           十四作品 ─万有─               八作品 ─価値観─       十七作品 ─日常─           十一作品 ─断片─               八 作品 ─無─                   三作品 ─掌編─    「無機物の渇望」       境界 「歪んだ花」         境界 「消えていく顔」       断片 「錯覚のまま」        断片 「ただ、純粋に」       価値観 「選べるなら」        断片 「種の中で」         循環 「いない気がして」      境界 「跳ねたコイン」       価値観 「溢れた珈琲」        境界 「10^-10^50の虚構」       万有 「少女の花弁」        感情 「巡る日常」         境界 「視線...

刻まれた断片


 寝そべったまま手を眺める。腕、甲、指。順番に視線を這わせて。深く刻まれた、皺。じっと見ている。遠くで玩具のピストルが鳴った。子供たちの歓声。旋律と重なり、耳を突く。

 布団を剥いで、外を睨んだ。ゆっくりと起き上がる。畳を踏み締め、窓に近づいた。唇が動く。溢れでて、呟いた。


 襖の開く音。振り返ると、女がお盆を持って立っていた。


 そっと床に置く。おじやが乗っている。女は微笑を浮かべて、口を開く。


「お義母さん。ご飯、持ってきましたよ」


 湧き上がってくる。口が開き、怒鳴っていた。女は笑みを浮かべたまま、頷いている。


 ──見たことのある、声。


 目を泳がせて、黙り込む。唾を飲み込むと、腹が鳴った。匂いがする。座り込んで、おじやを見つめた。震える手でレンゲを掴む。茶碗を手に持ち、喉に流し込んだ。すぐに咳き込み、胸を抑えた。


 女がコップを差し出す。背中を叩いてくる。

見たことのある、顔。


「ああ、あんたか。ご飯は、まだかい?」


「お義母さん。今、食べましたよ」


 聞いたことのある、声。

遠くで玩具のピストルが鳴った。子供たちの歓声。


────にこりと笑って、窓を見つめた。

コメント

  1. 一読した感想失礼します。

    読点に止まってしまうほどの時の流れを感じながら読み進めて、これはおばあちゃんの独白だったんだ、と気付いた時には胸が苦しくて、切なくなりました。
    緩やかに感じていた時の流れが、途切れ途切れだったことに気付いて…涙が滲む。
    最後にふわっと柔らかさがあるのも切ないです。

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  2. ネコートさん、コメントをありがとうございます。

    丁寧に読んでくださり、深く感謝いたします。そのように受け取ってくれたことを、嬉しく思います。
    途切れ途切れ。まさにそうかもしれませんね。私たちも。
    ありがとうございました。

    返信削除

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