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刻まれた断片


寝そべったまま、手を眺める。腕、甲、指。順番に、視線を這わせて。深く刻まれた、皺。じっと見ている。遠くで、玩具のピストルが鳴った。子供たちの歓声。旋律と重なり、耳を突く。


布団を剥いで、外を睨んだ。ゆっくりと起き上がる。畳を踏み締め、窓に近づいた。唇が動く。溢れでて、呟いた。


襖の開く音。振り返ると、女がお盆を持って立っていた。


そっと床に置く。おじやが乗っている。女は微笑を浮かべて、口を開く。


「お義母さん。ご飯、持ってきましたよ。」


湧き上がってくる。口が開き、怒鳴っていた。女は笑みを浮かべたまま、頷いている。


──見たことのある、声。


目を泳がせて、黙り込む。唾を飲み込むと、腹が鳴った。匂いがする。座り込んで、おじやを見つめた。震える手でレンゲを掴む。茶碗を手に持ち、喉に流し込んだ。すぐに咳き込み、胸を抑えた。


女がコップを差し出す。背中を叩いてくる。

見たことのある、顔。


「ああ、あんたか。ご飯は、まだかい?」


「お義母さん。今、食べましたよ。」


聞いたことのある、声。

遠くで、玩具のピストルが鳴った。子供たちの歓声。


────にこりと笑って、窓を見つめた。

コメント

  1. 一読した感想失礼します。

    読点に止まってしまうほどの時の流れを感じながら読み進めて、これはおばあちゃんの独白だったんだ、と気付いた時には胸が苦しくて、切なくなりました。
    緩やかに感じていた時の流れが、途切れ途切れだったことに気付いて…涙が滲む。
    最後にふわっと柔らかさがあるのも切ないです。

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  2. ネコートさん、コメントをありがとうございます。

    丁寧に読んでくださり、深く感謝いたします。そのように受け取ってくれたことを、嬉しく思います。
    途切れ途切れ。まさにそうかもしれませんね。私たちも。
    ありがとうございました。

    返信削除

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