作品アーカイブ (目次)

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僅かな眠り



 這わせた指の間に、砂が埋まる。澄んだ響きを纏って、波が近づいて来た。足の裏を撫で、濡らし、還る。砂を攫って。


 肌を焦がす陽射しを浴び、景色に溶けていく。微睡の中で思い浮かべる。ただ、遊んでいただけなのに。


 夢から覚めた意識が、砂浜に混ざって散らばる。動かない体を、波が包む。


 彼を、連れ去ってくれるのだろうか。


 茜色が沁みていく空を、濁った瞳が映している。風が吹くと、髪は揺れる。ただ、それだけ。


 ──彼は。 私だ。


 砂である私は、もう、考える必要がない。繋がっているだけでいい。


 身体からほどけた、他の私。担った役割の中で、編み創める。


 ────眠る。永遠のようで、僅かな時間を。

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