作品アーカイブ (目次)
更新通知⇨ RSSで新作を受け取る *文章にAIを一切使用していません。自分の感性だけで書きたいからです。曲と画像はAIで作成しています。
暗い空間を切り裂くように進んでいた。巨大な光が長い尾を引いて、一筋の線を刻んでいく。散在する瞬きに濃く滲む残像が、男の両眼に焼き付いていた。
大地が震える。激しい揺れに立っていることができない。空を覆い尽くす塊が迫って来る。
肉体が悲鳴をあげ、焦げた匂いがした。
男の叫びと街の狂騒が響き、混ざり、溶ける。
俺の、息子──無邪気に微笑む、幼い少年の顔が脳裏に浮かぶ。その刹那に四散した。
瓦礫と肉片が渦を巻く。暗闇が支配する世界で、岩石が無数に漂っていた。黒い霧となった男の周囲に、同じ存在となった者たちが揺らめいている。
朧げに漂う数多の黒い霧が絡み、螺旋を描く。透明な糸を手繰って。
──その中心に、男だったものがいた。
本質に還っていく。全ての霧が暗い空間に照らされ、目覚めていた。
一つとなったそれは岩石を吸収し、丸く研磨されていく。巨大な燃える塊に導かれ、刻まれた跡を高速で巡り続けた。
融合して、生まれた球体。赫く揺らめく炎が遠くから見守っている。
──悠久の、時。
地表で意識を自覚した。枝分かれしていく存在の一部が宙を見上げる。
四つの眼で、暗く美しい天空を見つめていた。散りばめられた輝きに魅入られて。
暗い空間を切り裂くように流れる光に、手を合わせて祈った。細く長い尾が滲んで、暗闇に閉じられていく。
その光景を見届け、八本の脚をくねらせながら歩いていた。蜘蛛の形をした生命が、息子を抱き上げる。幼い蜘蛛が、無邪気に微笑んでいた。
────忘却の彼方に、永遠に刻まれている。
コメント
コメントを投稿