作品アーカイブ (目次)

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  更新通知⇨ RSSで新作を受け取る *文章にAIを一切使用していません。自分の感性だけで書きたいからです。曲と画像はAIで作成しています。 ─最新─              「筆の先で」        境界 「積まれた煉瓦」      感情 「枯葉と砂」        日常 「線の先は」        境界 ─ピックアップ─ テーマ  時間 「重なる景色」 ─テーマ別─ ─境界─       十四作品 ─時間─           七作品 ─循環─       十三作品 ─感情─           十一作品 ─万有─           七作品 ─価値観─   十五作品 ─日常─           十一作品 ─断片─           四作品 ─無─               三作品 ─掌編─    「筆の先で」         境界 「積まれた煉瓦」       感情 「越えた後」         境界 「シリアルを咀嚼して」    感情   「街の跡」          日常 「旋回する夜」        日常 「閉じた瞼」         境界 「瓦礫の理由」        境界 「配慮の有無」        価値観 「銀の牢獄」         境界 「重なる瘡蓋」        境界 「見えない顔」        日常 「神木の瞳」         価値観 「最後の理性」        感情 「月光に照らされて」     感情 「重なる景色」        時間 「境界の先で」        循環 「寄り添う枯葉」       日常 「いやし」          循環 「編まれゆく造形」      循環 「ずれた距離」        日常 「刻まれた断片」    ...

魂の祈り



 暗い空間を切り裂くように進んでいた。巨大な光が長い尾を引いて、一筋の線を刻んでいく。散在する瞬きに濃く滲む残像が、男の両眼に焼き付いていた。


 大地が震える。激しい揺れに立っていることができない。空を覆い尽くす塊が迫って来る。
肉体が悲鳴をあげ、焦げた匂いがした。


 男の叫びと街の狂騒が響き、混ざり、溶ける。


 俺の、息子──無邪気に微笑む、幼い少年の顔が脳裏に浮かぶ。その刹那に四散した。


 瓦礫と肉片が渦を巻く。暗闇が支配する世界で、岩石が無数に漂っていた。黒い霧となった男の周囲に、同じ存在となった者たちが揺らめいている。


 朧げに漂う数多の黒い霧が絡み、螺旋を描く。透明な糸を手繰って。


 ──その中心に、男だったものがいた。


 本質に還っていく。全ての霧が暗い空間に照らされ、目覚めていた。

一つとなったそれは岩石を吸収し、丸く研磨されていく。巨大な燃える塊に導かれ、刻まれた跡を高速で巡り続けた。


 融合して、生まれた球体。赫く揺らめく炎が遠くから見守っている。


 ──悠久の、時。


 地表で意識を自覚した。枝分かれしていく存在の一部が宙を見上げる。

 四つの眼で、暗く美しい天空を見つめていた。散りばめられた輝きに魅入られて。


 暗い空間を切り裂くように流れる光に、手を合わせて祈った。細く長い尾が滲んで、暗闇に閉じられていく。

 その光景を見届け、八本の脚をくねらせながら歩いていた。蜘蛛の形をした生命が、息子を抱き上げる。幼い蜘蛛が、無邪気に微笑んでいた。


 ────忘却の彼方に、永遠に刻まれている。

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