作品アーカイブ (目次)

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  更新通知⇨ RSSで新作を受け取る *文章にAIを一切使用していません。自分の感性だけで書きたいからです。曲と画像はAIで作成しています。 ─最新─              「無機物の渇望」      境界 「歪んだ花」         境界   「編まれた柱」       循環 「消えていく顔」      断片 「錯覚のまま」       断片 ─ピックアップ─ テーマ   万有 「10^-10^50の虚構」                  ─テーマ別─ ─境界─           十九作品 ─時間─               七作品 ─循環─           十七作品 ─感情─           十四作品 ─万有─               八作品 ─価値観─       十七作品 ─日常─           十一作品 ─断片─               八 作品 ─無─                   三作品 ─掌編─    「無機物の渇望」       境界 「歪んだ花」         境界 「消えていく顔」       断片 「錯覚のまま」        断片 「ただ、純粋に」       価値観 「選べるなら」        断片 「種の中で」         循環 「いない気がして」      境界 「跳ねたコイン」       価値観 「溢れた珈琲」        境界 「10^-10^50の虚構」       万有 「少女の花弁」        感情 「巡る日常」         境界 「視線...

手放した石



  拡く波打つ海が揺らめく。高く伸びた塔の上から、幾つも石を投げ込んでいた。

 無数の飛沫が散り、波を起こす。頷き、口角を上げて繰り返していた。


 雫が跳ね、石が沈み──波紋を残して。

 

 振り下ろす腕が鈍くなる。ゆっくりと腰を降ろした。俯いて石を傍に置く。溜息を吐いて前を向いた。


 視線の先に島が一つ、浮いている。立ち上がり、梯子に足を掛けた。靴音を反復させ、塔の根に立つ。


 衣服と靴を脱ぎ、水面に飛び込んだ。腕を回し、脚で叩く。顔を横に向け、空気を吸い込んで。


 裸足の裏に、砂利が食い込む。


 小さな島を、踏みしめていた。重くなった身体を、引き摺りながら歩いていく。


 草を掻き分けた時、視界に映った。


 ──静かに佇む、池。


 縁にある切り株に近付き、座った。石が沢山転がっている。手を伸ばし、一つ掴む。


 じっと眺めて、呟いていた。


「繰り返すのか」


 首を振り、指を開けた。掌から零れ落ちて、地面を転がっていく。


 水面には何も起きていない。僅かに揺れるだけで。


 ────微笑みを浮かべ、頷いていた。

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