作品アーカイブ (目次)

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街の跡



 小さな黄色い傘をさしながら、濡れた路面を歩いていた。灰色の雲が白くなる。降り注ぐ温かい光。湿った空気を乾かして。

 橙色のズボン下。長靴が水溜まりを踏む。波紋を生んで飛沫を散らした。


 傘は、畳まない。

 表面にしがみつく水滴が。

 

 転がり、

 連なり、

 落ちて──跳ねて。


 持ち手を回すと、円を描く。雫が舞う。日差しが粒を反射して、少年の周りで輝いた。


 蒸気が昇り、路面の水が消えていく。

 蒼い空が、波紋の街を吸いこんで。


 跡を残して、昇っていく。

 傘を、畳む。


 風が吹いて、生地が靡く。


 滴り、揺れる。

 流れ、伝って。


 大きな黒い傘が、背中を見つめていた。


 ────雨が降れば。また、街が。



曲はこちらから▶️「街の跡」

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