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流転の木端

 


 川に丸太が浮かんでいた。激しい飛沫を上げながら、滑るように流れてくる。下流に向かって、一直線に。


 大粒の珠が幾つも見える。光を遮る巨大な雲から、流星となって降りてきた。

丸太にぶつかり、大きく揺らす。滴りと一体となって溶けていく。


 空間を切り裂く瞬きの後、轟音が鳴り響いた。

樹木が裂けて、二つに分かれる。燃える炎が水と絡まり、蒸気と煙が渦を描いて昇っていく。丸太が揺らされ、激流の中を静かに進む。


 宙に浮き、真下に吸い込まれていく。回転しながら奔湍を纏い、滝壺に座した岩石が受容する。湿った破砕の音と重なる、乾いた引き裂く音が因果を結んだ。


 弾け、ほどけた丸太だったもの。幾多の波紋を呼びおこす。泡沫と波が交差する中で、魚が踊り、飛翔する。


 雲が霧散し、遮るものはもういない。光を浴びた雨粒が、空に広がり同化する。

刻まれた道を巡る流線が、静謐を取り戻していく。


 焦げた匂いが漂う山に、鶯の声が鳴り響く。

呼応するように日暮が鳴いた。

木霊する反響が、更なる記憶を積み上げる。


 燻る炎が煙を孕み、山脈を覆っていく。


 ────木端が寄り添うように、浮かんでいた。

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