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12月, 2025の投稿を表示しています

作品アーカイブ(目次)

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  更新通知⇨ RSSで新作を受け取る *文章にAIを一切使用していません。曲と画像はAIで作成しています。 ─最新─ 「最後の理性」 「刹那の輪廻」 「月光に照らされて」 「重なる景色」 ─ピックアップ─ テーマ 日常 「寄り添う枯葉」 「ずれた距離」 「イカロスの夢」 ─テーマ別─ ─境界─   七作品 ─時間─   七作品 ─循環─   十三作品 ─感情─   九作品 ─万有─   七作品 ─価値観─   十三作品 ─日常─   六作品 ─断片─   四作品 ─無─   二作品 ─掌編─ 「最後の理性」 「月光に照らされて」 「重なる景色」 「境界の先で」 「寄り添う枯葉」 「いやし」 「編まれゆく造形」 「ずれた距離」 「刻まれた断片」 「剥製」 「嘘の果実」 「チャンネル」 「小さな骸」 「螺旋の唄」 「等しい欠片」 「山頂の霧」 「壊れる時間」 「なぞる先端」 「波紋の街」 「玩具と霧」 「境界の鏡」 「記憶の欠片」 「向日葵の匂い」 「雨上がりの空」 「イカロスの夢」 「繋がる音」 「絆」 「未来の記憶」 「時の揺らぎ」 「罪の幻想」 「欲求の鏡」 「映す鏡」 「石の子供」 「因果の果てに」 「仮面」 「変わらない日常」 「なぞる先端」 「古いねじまき時計」 「走馬燈の奥で」 「削られた御霊」 「魂の祈り」 ─散文詩─ 「刹那の輪廻」 「鼓動の燈」 「連鎖の眼」 「硝子の音」 「投影」 『   』 「呪文」 「命の唄」 「埋もれゆく言霊」 「忘却の彼方」 「見つめる声」 「流転の木端」 「同じ街」 「僅かな眠り」 「巡りゆく炎」 「始原の唄」 「瞬刻の万有」 ─物語─ 「鈴の心」 「尊厳と紙幣」 「水滴の音」 「在り方の道標」 「刻の環」 「最後の贈与」 「一滴の雫」 「継承の矢」 「 Valhalla─『祈りの行方』」 ─suno曲─ 「波紋の街」 「埋もれゆく言霊」 「玩具と霧」 「境界の鏡」 「同じ街」 「呪文」 「魂の祈り」 「連鎖の眼」 「鼓動の燈」

チャンネル

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目尻から流れる。頬を伝い、零れて。テーブルの端に、水滴が広がる。画面が、揺れていた。 景色が滲む。手を、目に伸ばした。濡れた指を、服で拭う。晴れた視界に映された、死臭 。嗚咽が、漏れる。 着弾のあと、家屋が粉砕された。部屋に届くのは、乾いた音。画面の中で、静かに崩れていく。テーブルに置かれた、マグカップ。ゆっくりと掴み、珈琲を注いだ。 両手で包み、持ち上げる。昇る湯気に、香りを含んで。息を吹きかけ、唇に触れた。濃い苦味が、口内に沁みる。テーブルに戻し、リモコンを掴んだ。 手を突き出し、親指で何度も押す。画面が次々切り替わる。嗚咽は、もうしていない。指が止まり、口角が緩む。 明るい声が、部屋に響く。 爆笑──目尻に、涙を浮かべて。 遠くで、炎が拡がる。揺らめき、轟音が地を揺るがす。 ────笑声と重なる。混ざり、溶けて。

投影

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文字が、漂う。無作為に、散らばって。 連なることがあった。映す。その刹那を。 現実──虚無。 従っていない。その羅列は。 すぐに、ほどける。 何度も。 微細に震え、寄り添う文字。記述でもなく。 ただ、留まる。 導きも、ない。 寄り添い、震えて。 また、映す。 ────刹那を。

『   』

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種が。 揺らぎ、揺蕩う。現れ、消えた。 時折、拡がる──拡がっていない。 芽を出し、伸びていく。 茎を太くし、葉が生える。 花を、咲かせた。 花弁が散る。しなだれ、枯れて。 ──種のままで。 揺らぎ、揺蕩う。 ────現れ、消えた。

小さな骸

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眼下に倒れた、顎髭を編み込んだ男。じっと、見つめていた。土に敷かれた砂が、赤黒く滲んでいく。握り締めた剣を軽く振る。粘つく雫が、散らばった。 地面に刃を突き立て、息を吐いた。傍にある岩に腰を下ろす。顔を上げて、周囲に視線を巡らせた。多くの人が転がっている。兵士も、民も。皆、骸となって。 視線の先で、甲冑の輪が描かれる。その中心で敵兵が叫んでいた。掴んだ斧を振り上げ、輪に突進して。 怒声と悲哀が混濁する。仲間が頭を断ち割り、歓声が沸いた。崩れ落ちる、最後の一人。 雄叫びと、無数の刃が天を示す。騎士団の旗を靡かせて。 残された街が佇む。石壁は砕け、家屋からは焦げた匂いが漂っていた。生臭い、血の匂いが鼻腔に張り付く。小さな靴が、目に留まる。 首を振り、空を見上げた。鮮やかな緋色に染まった雲が、流れる。昇る煙が宙にほどけ、景色に編みこまれて。 靴音に気づき、前を向いた。鉄が重なる鈍い響きと。部下が整列している。一瞥して、口を開いた。 「......よくやった。野営に戻り、休め。」 皆、眉をひそめ見合わせる。構わず顎で促すと、踵を返した。そのまま駆け出す。 砂埃が舞うのを眺め、視線を落とした。静寂が拡がる。目が合った。顎髭の骸の、濁った瞳と。 ──お前。......何か言ってたな。 刃の擦れる音が、頭に響いた。 思考が、沈んでいく。 ─── 顎髭を編んだ男。荒い息を繰り返し、両肩が上下に動く。唸りながら、戦斧を胴に薙いでくる。剣板に手を添え、受け止めた。半身にずれ、角度を変える。高く澄んだ金属音が鳴り続け、空気を切り裂く。 踏み込み、腕を前に突き出す。切先が胸に潜り込む。背中を──貫く。 「......何故、俺たちを殺す。」 「略奪を繰り返すからだ。」 揺れる、編まれた髭。唇を震わせ、紡いだ。 「生きるためだ。......お前たちと、何が違う。」 剣を引き抜く。溢れ、滴る。纏った毛皮が染まっていく。膝を折り、ゆっくりと仰向けに倒れた。見開かれた目に、太陽を映して。 朧げに歪む景色の外で、月明かりが男を照らした。辿った記憶から、意識を手繰る。 身につけた鉄が、冷たく沁みて。 ─── 暗闇に塗られた空。降りてくる、淡い光。顎髭の骸。零れ出た、言葉。 「お前の、言う通りかもな。」 布切れを取り出し、柄を握った。立ち上がり、力を込める。地面から抜いた剣を、丁寧に拭う。厳かに鞘へ納めた...

螺旋の唄

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  暗く、美しい空間。何処までも拡がっていた。散らばる粒が瞬いて。黒い光が、星雲を切り裂くように進む。黒い筋を描きながら。 巨大な縞模様が渦巻く球体が迫る。それを突き抜け、蒼く輝く光に向かう。 鮮やかな色彩が波打つ、その世界へ。 雲を抜けて地表に近づく。舗装された道沿いを進む、黒い光。明滅を放つ窓に、導かれるように。 ──── コトコトと音を立て、鍋から湯気が昇る。輪を描いて、ほどけていく。匂いが広がり、 鼻を刺激した 。 一瞬、暗くなる。 電灯の明滅。頭を掻いて、席を立つ。肉と野菜のスープをよそい、椅子を引く。咳込みながら、座った。震える手で、スプーンを握る。 皿に入れ、掬いながら視線を向けた。テーブルの端で微笑む、女の写真に。 二口啜って、咳き込む。しばらく、眺めていた。 ──息子は、元気だろうか。 減らない皿を見つめ、溜め息を吐いた。 硬い音を立てて、明滅が止まる。 暗闇が拡がり、男の背後で揺らめく。 黒い霧が。 『お前の、役割が変わる。』 椅子を倒し、床に倒れた。喉が引きつり、声が出ない。後ろ手で後ずさり、凝視した。 『怯えなくていい。それを、伝えに来ただけだ。』 咳込む口を抑えた。掌が、赤く滲む。 暗闇に滲む霧が、男を包んだ。歯を、噛み鳴らす。 「......死ぬのか。」 腹の大きい女が、微笑む。 ──あの子は、いくつになったんだろう。 咳が止んだ。瞳が、濁っていく。 胸の痛みが、和らいで。 ぼんやりと映る。窓の傍に置いた、鉢の花が。大事にしていた、花。 一枚、散った。ひらひらと零れ、土に還る。 茎を、虫が齧るのが見えた。 ──そうだ、たしか...... 口元に浮かぶ、微笑み。写真の女と重なる。 『変わるだけだ。』 赤子の鳴き声が、響いていた。螺旋の唄が── ───暗く、美しい空間。黒い光が、突き進む。鮮やかに明滅する、星雲を巻いて。

等しい欠片

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乾いた音が連なって、幾重にも重なり続けていた。気怠い体。背は丸まり、集中できない。 思考を靄が包み込む。キーボードから指を離し、目頭を押さえた。ふと、溢れる。 『俺は何をしているんだろう。この仕事は、何のためだ。』 何度も押して、思い出す。 『......金を、得る為。』 打鍵の音が響く部屋。誰もが席に座り、モニターを見つめている。指は、せわしなく動き続けて。 明るい照明が、皆を照らしていた。無表情に画面を見つめる、同じ顔を。 ──生きるために。養うために。 叱責する声が聞こえてくる。打鍵の音と混ざりながら。混濁する響きの中で、同僚の一人が項垂れていた。 ──我慢しなければ。 窓の外で、雲が流れている。緋色に染まった空を。喧騒に浮かぶ笑い声。風に攫われ、散っていく。 疑うことなく、キーを叩いていた。皆と同様に。ぼんやりと、同僚の顔を眺めた。 同じだ。皆、同じ。項垂れ、震えるあの男も。叱責を続ける、あの男も。 終業のベルが、鳴り響いた。 反射的に仰け反り、視界が広がる。 打鍵の音が止む。叱責の声も。ぞろぞろと頭を下げて、帰っていく。 一人が振り返って、口を開いた。 「お前も早く帰れよ。」 「俺に言ったんだよな?お前じゃなくて。」 眉を顰める同僚。首を傾げて、ドアを閉じた。 残響の中、頭を振る。鞄を掴み、席を立つ。靄は、かかったままだ。無意識に外に出た。月光と街明かりが、交錯する。 夜風が紙屑を転がし、前髪を揺らす。街灯に群がる、羽虫を見つめて。 ──同じだ。 視線を外し、歩道に踏みだす。思考の靄が、霧散した。 疑いもなく、往き交う人々。その雑踏へ紛れに行く。群衆に溶けた男。一部となって、ただ巡る。 ───違いなど、ない。刻まれた跡を、辿るだけで。