作品アーカイブ(目次)
秒針の音と共に、静かな空間に重なり合って溶け込んでいく。
心地よく聞きながら、窓越しに届く陽射しを浴びていた。瞼が重くなってくる。
クレヨンを持つ手が止まりそうになるが、力を込めて画用紙の上を走らせる。
にこりと笑った。画用紙を両手に広げて掲げている。
「ばあちゃん、これ見て!」
画用紙いっぱいに、茶色く長い毛で頭を囲んだ動物がいた。
目を細めて眺めていたばあちゃんが、持っていたお茶をテーブルに置く。
「ライオンさん、上手に描けたね。」
ライオンを掲げたまま、笑顔で飛び跳ねる。
振り子時計が鳴った。
鳴っている音を数えてみる。
「一回......五回......十二回!」
振り子時計の音に合わせるように、頭を撫でられていた。
ばあちゃんが何か呟いていたが、聞こえなかった。
────
風が吹き抜けるたびにカーテンが揺れる。
肌寒く感じて窓を閉じた。
熱いお茶を淹れて、ゆっくりと口に運ぶ。
テーブルに湯呑みを置いて、湯気が天井に向かうのを眺めていた。
視線を横に流すと、娘が紙を真剣に見つめている。鉛筆でなぞる音が心地よく響いてくる。
振り子時計が鳴り出した。
鳴っている間、自分の頭を撫でていた。
十二回目が鳴り止んだ時、手を止める。
ずっと昔に、ばあちゃんに撫でてもらったことを思い出していた。
鉛筆が止まり、娘が顔を上げて首を傾げる。
「お母さん、頭痛いの?」
娘に言われて、慌てて手をおろした。
時計の数字が、僅かに滲んだ。
────
振り子が揺れていた。
秒針と振り子の音が重なって響く。
窓越しから届く陽光が孫を照らしていた。
孫は眠たそうに瞼を閉じかけている。
クレヨンを持つ手が止まりそうになっていたが、瞼を瞬かせながら画用紙をなぞっていた。
にこりと笑う。画用紙を両手に広げて。
画用紙いっぱいに、ライオンがいた。
目を細めて眺めていたが、持っていた湯呑みをテーブルに置いた。湯気が天井に向かっていく。
「......ライオンさん、上手に描けたね。」
孫はライオンを手に持って走り回っている。
振り子時計が鳴った。
振り子時計の音に合わせるように、孫の頭を撫でていた。
「一回......五回......十二回!」
ポツリと呟いていた。
「......この子は、私なんだ。」
───時計の数字が、滲んで溶けていった。
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