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作品アーカイブ (目次)

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  更新通知⇨ RSSで新作を受け取る *文章にAIを一切使用していません。自分の感性だけで書きたいからです。曲と画像はAIで作成しています。 ─最新─              「筆の先で」        境界 「積まれた煉瓦」      感情 「枯葉と砂」        日常 「線の先は」        境界 ─ピックアップ─ テーマ  時間 「重なる景色」 ─テーマ別─ ─境界─       十四作品 ─時間─           七作品 ─循環─       十三作品 ─感情─           十一作品 ─万有─           七作品 ─価値観─   十五作品 ─日常─           十一作品 ─断片─           四作品 ─無─               三作品 ─掌編─    「筆の先で」         境界 「積まれた煉瓦」       感情 「越えた後」         境界 「シリアルを咀嚼して」    感情   「街の跡」          日常 「旋回する夜」        日常 「閉じた瞼」         境界 「瓦礫の理由」        境界 「配慮の有無」        価値観 「銀の牢獄」         境界 「重なる瘡蓋」        境界 「見えない顔」        日常 「神木の瞳」         価値観 「最後の理性」        感情 「月光に照らされて」     感情 「重なる景色」        時間 「境界の先で」        循環 「寄り添う枯葉」       日常 「いやし」          循環 「編まれゆく造形」      循環 「ずれた距離」        日常 「刻まれた断片」    ...

筆の先で

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  長く伸びた川が、静かに流れていた。六本の柱は、水面から空に向けて立っている。石造りの表面に、緑の苔が張り付いていた。  支えられた橋。先に見える稜線。生い茂る緑。佇んでいた男が、前に踏み出す。  ──硬い靴音が響いた。  風が山に飲み込まれ、還って来る。  ざわめき、囁いて。  中央まで歩を進め、脚を止めた。  顔を横に向け、景色を。  山脈。  蒼空。  流水。  全てを描いた。柔らかい穂先で。  耳を澄ませ、頷く。  渡り終えて振り返る。  橋の手前で、男が佇んでいた。  ──硬い靴底が鳴る。    色彩が降り注ぎ、暖かく写した。  ────光景を。

積まれた煉瓦

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   橙色の煉瓦が積まれる。長く、高く。端を丁寧に合わせながら、ゆっくりと重ねて。太陽の視線を受け、熱が籠る。  顔を下に向けると、街が拡がっていた。数多の人が歩んでいる。暫く眺め、眼前の煉瓦に触れた。風が、僅かに冷やす。  靴底を音もなく乗せた。梯子を一段登る。  担いだ背嚢に、縁まで詰まっていた。  減ることは、ない。  息が乱れ、身体が震えた。大きく吸って、全てを吐き出す。  空を見上げた。  ──あの、雲まで。  少し、揺れた。顔を街に向け、歯を食いしばる。視点を移して。  太陽と眼が合った。  手を開け、背に伸ばし──掴んだ。  ────煉瓦を積む。丁寧に。

枯葉と砂

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   風が顔を執拗に撫でる。瞬きの隙間を縫って、瞳に砂が吸い込まれた。  視線の先で揺らぐ。  枯葉が、枝から解かれて。  視界が滲み、瞼を閉ざす。目尻に溜まる雫に、短い黒線が混ざっていた。頬に張り付いたそれを、摘む。  瞬きを繰り返し、景色が色を取り戻す。  摘んだ指先を開いた。風に乗り、運ばれていく。  空に混ざり、見えなくなる。  ──枯葉と。  舞い、  巡り、  砕け──馴染んで。  ────砂と共に。

線の先は

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  丸い輪を型どる電灯が、瞳に景色を流し込む。天井に向けた目を瞬かせ、寝そべっていた。手を止めて、息を吐く。身体を起こして。  秒針が刻む。  滴り、溢れる。  水が、流れて。  ──音。  耳に入り、震わせる。  床に擦りながら膝を立て、腰を伸ばした。台所に足を運ぶ。白と黒の線を超えて。  光はもう、届いていない。  淡く桃色に揺らめく水槽。  覗くと、泡が弾けた。  鼓動が聞こえる。重なり、混ざって。  ──音。  暗闇に手を伸ばした。壁をなぞり、指を這わす。  黒が、白に反転した。  ────もう、聞こえない。

越えた後

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   天井に吊られた玩具の馬。三匹、佇んでいた。緋色の陽光が入り込み、部屋を暖かく照らす。サーキュレーターの硬い風が──長い髪を撫で、揺らし、乱した。  転がる弁当容器とペットボトル。キャビネットの上に立て掛けた写真に目を向けると、三人の笑顔があった。ゆっくりと立ち上がり、両手で包む。暫く眺めて、前に倒した。乾いた音が鳴る。  ソファーの上に、裂かれた小さな服。畳んで置いていた。腕の掻き傷に触れる。  蠅が旋回していた。羽音が耳に触れ、入り込む。頭で擦れ、反響した。  ──生臭いな。  小さなゴミ袋が置かれている。蛆が二匹、留まっていた。傷痕をなぞり、舌打ちする。  インターホンが鳴った。鍵を開ける音がする。腰を曲げて手を伸ばし、濡れた柄を握り締めた。静かに玄関に向かう。  ノブが回り、ドアが開いた。 「ただいま」    男が靴を脱ごうとして、動きを止める。綺麗にラッピングされた箱が、床でひしゃげた。  両手で握る包丁が、腹に冷たく潜り込む。  口を開けた男の眼が。  ────嗚咽する女を映す。見開かれたままで。

シリアルを咀嚼して

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  ──見つけた。   笑みを張り付けた顔が、ロッカーに設けられた隙間を覗きこむ。目が、合った。  扉が開かれ、女が叫ぶ。男は太い人差し指を口元に立て、手に持ったナタを捨てた。刃を染める色が床に筋を残す。掌がゆっくりと迫る。顔を掴まれ、握られた。細く白い手が腕を掴み、力を込めたがほどけない。  頭蓋が軋み、呻きと混ざった。湿り気を帯びた、軽く砕ける音が鳴る。両手を垂らした骸を引き摺り出して、廊下に投げ捨てた。  じっと見つめた。何も見えていない、瞳を。 溢れた涎に混ざる薄い赤色。唇に触れて指で掬う。口に運んで、中で転がす。にこりと微笑み、何度も頷いた。 「やっと捕まえた」  眼尻から伝い、流れ落ちる。  雫が床に跳ねて散らばり、拡がった。  両足首を持ち、引き摺っていく。向かう先には何体も倒れている。廊下にはワックスが塗られ、滑るように進む。横に視線を移すと、シューズロッカーが並んでいた。名札を確認する。  明るい校内。電灯の光が骸の顔を照らしていた。首を傾げて、足首から手を放す。  その場に置いて、歩き出した。校舎を出て車に向かう。    ──名前、なんだっけ。  キーを回して、エンジンを掛けた。傍らにある箱に手を突っ込み、放り込む。軽く砕ける音が車内に響く。ホルダーにあるミルクを口に含み、転がしながら唇を湿らせた。  暖かい日差しが校舎の入り口を映す。  ────赤が乾いていた。床に、張り付いたままで。