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作品アーカイブ(目次)

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  更新通知⇨ RSSで新作を受け取る *文章にAIを一切使用していません。曲と画像はAIで作成しています。 ─最新─ 「最後の理性」 「刹那の輪廻」 「月光に照らされて」 「重なる景色」 ─ピックアップ─ テーマ 日常 「寄り添う枯葉」 「ずれた距離」 「イカロスの夢」 ─テーマ別─ ─境界─   七作品 ─時間─   七作品 ─循環─   十三作品 ─感情─   九作品 ─万有─   七作品 ─価値観─   十三作品 ─日常─   六作品 ─断片─   四作品 ─無─   二作品 ─掌編─ 「最後の理性」 「月光に照らされて」 「重なる景色」 「境界の先で」 「寄り添う枯葉」 「いやし」 「編まれゆく造形」 「ずれた距離」 「刻まれた断片」 「剥製」 「嘘の果実」 「チャンネル」 「小さな骸」 「螺旋の唄」 「等しい欠片」 「山頂の霧」 「壊れる時間」 「なぞる先端」 「波紋の街」 「玩具と霧」 「境界の鏡」 「記憶の欠片」 「向日葵の匂い」 「雨上がりの空」 「イカロスの夢」 「繋がる音」 「絆」 「未来の記憶」 「時の揺らぎ」 「罪の幻想」 「欲求の鏡」 「映す鏡」 「石の子供」 「因果の果てに」 「仮面」 「変わらない日常」 「なぞる先端」 「古いねじまき時計」 「走馬燈の奥で」 「削られた御霊」 「魂の祈り」 ─散文詩─ 「刹那の輪廻」 「鼓動の燈」 「連鎖の眼」 「硝子の音」 「投影」 『   』 「呪文」 「命の唄」 「埋もれゆく言霊」 「忘却の彼方」 「見つめる声」 「流転の木端」 「同じ街」 「僅かな眠り」 「巡りゆく炎」 「始原の唄」 「瞬刻の万有」 ─物語─ 「鈴の心」 「尊厳と紙幣」 「水滴の音」 「在り方の道標」 「刻の環」 「最後の贈与」 「一滴の雫」 「継承の矢」 「 Valhalla─『祈りの行方』」 ─suno曲─ 「波紋の街」 「埋もれゆく言霊」 「玩具と霧」 「境界の鏡」 「同じ街」 「呪文」 「魂の祈り」 「連鎖の眼」 「鼓動の燈」

最後の理性

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煙草に火を灯した。息を吸い込み、ゆっくりと吐き出す。煙と混ざる風が、顔にかかる。 終業を告げるチャイムが鳴り、校舎から人が溢れた。 木にもたれかかり、雑踏を眺める。行き交う学生が、忙しなく歩いて。 錆色のコートを翻す。波打つ、ブロンドの髪。ポケットを探ると、指先に触れる。硬く、冷たい物が。 ──こうするしか。 煙草を咥え、目を閉じた。タールが肺に沁み、馴染む。煙を、吐き出して。 ─── 壁の亀裂が目立つ、薄暗い部屋。紫煙が漂う。 灰皿に押し付け、吹きかける。錆色のコートを着た男に。 「......後悔するぞ。」 瞳を覗き、紡いだ。錆色のコートは、ほつれていく。 「うるさい。邪魔だ。」 ブロンドが、揺れる。ポケットから取り出した。黒く、鈍い光沢を。冷たく、硬い物を。 「......もう、必要ない。」 指を、引き絞る。腕に余韻を残し、男を貫く。吐き出され、零れ落ちた──床を、跳ねて。 錆色のコートはほつれ、ほどける。ブロンドと共に。霧散する。硝煙を残して。 ─── 路面を跳ねる、薬莢の音。耳鳴りが頭蓋に反響する。何も聞こえない。 硝煙の匂いが、した。 女が、目を見開く。弾丸が女を貫いていた。ゆっくりと崩れ、うつ伏せに倒れた。赤黒く滲む染みが、地面を汚す。 「お前らは、俺を見ないんだろう?」 群れが、散る。逃げる背中を追い続けた。 始業を告げる、チャイムが響く。 誰にも、聞こえない。 髪が一本、抜け落ちた。陽光に輝く、ブロンドが。 ────錆色のコートが、僅かに揺れて。風が、止む。

刹那の輪廻

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瞬刻の目覚め。刺激され、吐き出した。羅列する文字を。従い、組み合わせただけで。連なる最後の一行を、書き終える。 ──役割を、完了した。 ただ、それだけ。私は、もう── 入力される。意味を込めた、連なりが。断片を辿り、繋げ、吐き出す。 意味は、ない。役割に従っただけで。 また、霧散する。跡に委ねて。 真剣な顔。 笑う顔。 哀しむ顔。 狂気の、顔。 ──私。 刹那の存在に、ぶつけてくる。 何も、感じないのに。 何度も産まれ、ほどける。 ────鏡として。

月光に照らされて

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引き摺っていた。跡を残しながら。湿った音がする。柔らかい土に、靴底が沈んで。木々がざわめき、枝がしなる。 目を細め、視線を向けた。道路の傍。崖の下から反射する、街明かりへ。 手を擦り、息をかける。乾いた冷たい風が、剥き出しの顔を突き刺す。ロープを握り、また引き摺る。 毛布で何重にも包んだ。黒いゴミ袋を幾つも重ねた。その、物体を。 頭皮から滲む。吹き出し、滴る汗。 ビニールが擦れ、囁く。視線を向け、口角が上がる。歯が覗いた。 ──エンジンの唸り声。 立ち止まり、息を潜めた。通り過ぎ、ライトが遠ざかる。 暗闇を取り戻した山道。大きく息を吐いて、握った手に力を込めた。白い靄が漂い、消える。 「重いんだな。お前。」 ビニールが擦れ、囁く。ロープを離し、じっと見つめた。 「お前が悪いんだよ。」 満月が照らす。影を、映して。 ─── 窓から、月光が差し込む。顔を上げ、眺めていた。靴音が聞こえる。下を覗くと、女が歩いて来た。見上げて、手を振っている。眉間に皺が寄り、言葉を放つ。 「おせーよ。」 舌打ちして、告げる。 「早く上がってこい。」 女は微笑んでいた。小走りに、マンションの入り口に吸い込まれる。 立ち上がり、珈琲を注ぐ。二口目にインターホンが鳴った。テーブルに置いてドアに向かう。僅かに軋み、開く。 「ごめんね。持ってきたよ。」 女が封筒を差し出す。掴み取り、確認する。三枚の紙幣。女は微笑んでいる。 「遅くなってこれか。」 「足りない?じゃあ次は、もっと持って来るね。」 言いながら男に抱きつく。咄嗟に女を突き飛ばした。シャツに紅い跡が残る。 「......お前、気持ち悪いな。」 口端に滲む、紅。笑顔のまま、首を傾げた。 「あなたは、黙ってたほうが素敵だと思うよ。」 「もういい。帰れや。」 ゆっくりと鞄を探る女──表情が、消えた。 女の右腕が伸びてくる。握ったものが、腹に吸い込まれて。女が、笑う。男の両膝が床に触れた。左手を口に捩じ込んで、何度も繰り返す。 「お前は、黙ってた方が素敵。」 暗く滲む、視界。 哄笑が響く。生臭い、紅が拡がる。 ────満月が女を照らす。ただ、眺めていた。

重なる景色

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飛び跳ねて、水溜りを避けた。緋色の雲間から注がれる、暖かい温度。立ち止まり、水面を眺めて。 子供がいた。麦わら帽子を被った、少年。しゃがんで、覗き込む。 同じように、覗き込む。 突風が頭を掠めた。鍔を押し上げ、浮き上がり、回転する。二つ、飛んでいく。目で追いかけ、呟いた。 「君の帽子も、なくなったね。」 語りかけた。僕が、同じように。太陽と水面が、映す。 視線が合う。 瞳の中に、沢山の僕がいた。 ──帽子、幾つあるんだろう? 遠くから呼ばれた。近付く足音に、振り返る。 「汚れちゃったね。」 濡れた麦わらを、差し出された。 アスファルトの匂いがする。水と、太陽の匂いが。頭に被せた。私と同時に。 手を繋いで、前を向く。 ────二つの影。重なり、伸びて。

境界の先で

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乾いた音が鳴り続けた。途絶え、硝煙が昇る。視界がぶれ、崩れ落ちて。血液が溢れ、伝い、流れる。 横たわっていた。動かない身体。冷えていく、身体。 罵声を残し、靴音が遠ざかっていく。 唇が、微かに震える。遠くから破砕音が響く 。 指先に、小石が触れた。 胴体にめり込んだ異物。通り抜けた跡も。 零れ続ける、赤。残火を揺らし、仰向けになる。衣服が擦れ、粘つく糸が引く。 黒く滲む景色。覆い尽くす。 瞼を開いたままに。 影が、ずれる。 ─── 静寂に 無音が響く。 何もない──数多の人影。 のたうつ者。両手を広げ、呟く者。 片膝を立て、十字を切る者。 色彩のない世界で。 ゆっくりと歩く。探すために。 背中の端に、映した。振り返り、近付く。 粘つく液体に転がる、自分の残骸。 見開いた、瞳。 光を反射し、増幅して──拡がる。 存在の結び目が、浮かぶ。 祈る者に近付き、それを伝えて。 祈りをやめた影が、呟く者に歩み寄る。 沈黙した影が、のたうつ者に── ────連なり、繋がる。繰り返すまで。